ワイドテックプロダクト企画担当のYです。
弊社で初めて運用自動化ツールの事業企画に着手したのは、約2年前に遡ります。その間、技術的検討と並行し、市場調査も進めてきましたが、企画着手当初ズブの素人だった自分が業界や市場を調べる上で当初悩まされていたのが、市場に出回っている数多の運用管理製品のうち、「運用自動化ツールって、いったいどの製品?」ということでした。
今回は運用自動化ツールのアウトラインを理解する上で欠かせない市場状況、ジャンル分けなどについてご紹介します。
(2022年9月27日追記)こちらの原稿を公開してから6年の時を経て、新たに「2022年最新バージョン」を公開しました。なんとこの記事を執筆してからもう6年が経っていました。早いものです。最新版では運用自動化のマーケットやツールがどのように変化を遂げているのかをめぐりながら、改めて「運用自動化」について考えています。「2022年版 運用自動化ツールとは?」もぜひご参考ください。
運用管理製品と運用自動化ツール
現在、IT製品市場全体において、運用自動化ツールというのは運用管理(システム管理)製品の1ジャンルと位置付けられるのが一般的です。つまり、運用管理という大分類のもとに、小分類としての自動化ツールの市場が存在しているわけです。
国内シェア上位の各ベンダーの場合、もともとNMSのようなシステム監視機能中心のツールからスタートし、後にジョブスケジューラやIT資産管理、そして自動化へとラインナップを拡張して行ったためと考えられます。自動化ツールは運用管理分野にあって、最も新しい市場といえます。
とある運用管理製品のシェア調査によれば、国内では上位の3社だけで市場の65%を占めている、いわば寡占状態にあるそうです。そんな寡占市場に、弊社が新規参入して勝ち目はあるの? と、社内でも疑問の声が上がったものですが、65%というのはあくまで運用管理製品という大分類全体での話であり、自動化に絞って見てみると、事情は異なるようです。
大手のSIerさんからお聞きした話では、シェア上位の運用管理製品の新規導入案件で、同製品のラインナップに自動化機能が含まれているにもかかわらず、自動化については別の製品を組み合わせて提案するケースが結構あるそうです。
つまり、運用管理全体では寡占市場ながら、自動化製品のシェアについては、必ずしも同様な寡占は起きていない、ともいえます。
ジョブスケジューラと運用自動化ツール
IT運用自動化、英語で「RBA(Runbook Automation)」とか「ITPA(IT Process Automation)」といった用語が登場したのは比較的新しく、2000年代も半ばに入ってからのことですが、RBA登場以前から運用業務の省力化を目的に広く使われていた「ジョブスケジューラ(ジョブ管理ツール)」は、メインフレームからの長い歴史を持っています。
運用の現場に携わっている弊社の外勤社員にヒヤリングしてみると、「自動化ツールは触った経験がないけど、ジョブスケジューラなら日常的に触っている」という例が少なくありませんでした。
ジョブスケジューラの役目は、「ジョブ(仕事)」として定義される作業を、あらかじめ定めた日時や頻度・間隔で実施することにあります。ある条件でのみジョブを動かしたり、逆に定期的に実施しているジョブを特定の条件では行わないようにしたり、といったジョブの例外的な制御も、一般に可能です。
運用自動化製品の中には、既存のジョブスケジューラがバージョンアップする形で自動化の概念を持つようになったものもあれば、同じシリーズ製品の中に、ジョブスケジューラと自動化ツールがそれぞれ独立して存在しているケースもあります。
POLESTAR Automationを含む商用の運用自動化ツールの多くも、こうしたジョブスケジューラの機能を持っていますが、ハードウェアやソフトウェアの状態を取得して構成・設定を変更したり、適切なコマンドを自動実行したり、リブートを掛けたり、といったところまでカバーし、多少なりともインテリジェントな要素を持ったものを、運用自動化ツールと定義することができると思います。
エージェント vs. エージェントレス
POLESTAR Automationでは、管理対象のサーバー(PC)ごとに「エージェント」というソフトウェアをインストールしていただく必要があります。
エージェントの役割は、サーバーの構成情報や稼働情報(CPU使用率、メモリやストレージの使用量、インストールされているアプリケーション…)をPOLESTAR Automationの管理サーバーでリアルタイムまたは定期的に取得できるようにしたり、必要に応じて管理サーバーから自動的に、または手動で送信されるコマンドを実行したり、ファイル配布を行ったり…といった、高度な自動化機能の実現に欠かせないものです。
一方で、他社の自動化製品には「エージェントレス」を謳うものがあります。文字通り、管理対象のPCにエージェントをインストールする必要がなく、サーバー側からの情報取得や自動化コマンドの実行を、SSHなどを使って行うものです。
エージェントを組み込むことで、アプリケーションのインストール状況を含めたより細かいPCの構成情報を把握し、不要・危険なアプリのアンインストールなどのコンプライアンス対策や、逆にアプリを含む各種ファイルの配布とインストールといった、より多彩で細かな制御を行うことができるようになります。管理対象のPCでエージェントソフトウェアのインストール以外に行うことは、基本的に、エージェントが通信するのに必要なTCPポートの開放だけです。
こうした機能の中には、エージェントレスでは実現できないものが少なくありません。POLESTAR Automationではエージェントを組み込む方式とすることで、多様な自動化機能をよりシンプルに実現できるのだとご理解いただければ幸いです。
エージェントが実現するPOLESTAR Automationの多機能
POLESTAR Automationは自動化ツールですが、ハードウェアの状態管理、OSのEOL管理やアプリケーションソフトウェアのインストール管理、コンプライアンス対策といった、監視ツールや資産管理ツールの領域に含まれる機能も実現しており、その多くにはエージェントプログラムが関与しています。
先達の各社様とは異なり、弊社では今のところ、運用管理領域においてはわずかなラインナップしか持っていません。そこで、日常的な運用に関する多くの業務を、POLESTAR Automationという単一のシステムで実現し、自動化可能とすることに注力しました。
既存の統合運用管理を導入済みながら、自動化はまだ、というお客様はもちろん、運用管理ツールを一切導入されていないお客様でも、POLESTAR Automationだけでかなりの運用業務負担を減らすことが可能かと思います。
POLESTAR Automation、きっと貴社の運用業務のお役に立ちます。
ぜひともご検討ください。