コラム」カテゴリーアーカイブ

これからも、お客様のニーズを最優先に

公開日:2018/02/09   更新日:2025/04/01

ワイドテック プロダクト企画担当のYです。

POLESTAR Automationの発売から1年半ほど、Webサイト等での露出を地道に、時には展示会などを通じて派手に重ねてきたこともあってか、それなりに認知が広がってきている気がしています。最近、問い合わせの数が以前にもまして増えてきており、営業・技術の担当者が製品の説明やデモに出向く時間も多くなっています。

中小企業ゆえ、限られた人数で回していますので、担当が外出中などの場合は、お問い合わせをいただいても即答できないケースも出てくるほどです。専門の担当者が適確にお答えすることを優先していますので、多少のお時間をいただく場合があるかもしれません。あらかじめご了承ください。

■始まりはいつも、市場調査から。

実は自分ことYは、現在POLESTAR Automation関連の直接業務からは外れ、新しいプロダクト企画に携わっています。新企画はまだ市場調査の段階なのですが、何か調査業務を始める度に思い出されるのが、POLESTAR Automationプロジェクトの初期のことです。
弊社内で「自動化」製品のプロジェクトが立ち上がったのは、2014年の話です。昨年(2017年)「RPA」というキーワードが、ITに「新語・流行語大賞」があるなら大賞をもらいかねない勢いで話題を集めましたが、当初は今でいうRPAのような汎用自動化製品を志向していました。

以来、2016年10月にPOLESTAR Automationとしてリリースアウトするまで、結構な期間が流れたのですが、RPA的な製品ではなくIT運用の自動化にフォーカスしたのは、当時の市場調査を受けての結果でもあります。

リリースまでの2年ほどで、最も多くの時間と手間を費やしたのが、市場調査です。あの手この手で、運用自動化市場の規模や競合製品の情報などを収集し、新規参入に向けての手応えを掴もうとしてきました。中でも、このコラムの第1回でも触れた通り、弊社の売上のかなりの部分を占めているのが、NMSスーパーバイザーシステム「TOGOS」を祖とする技術人材派遣事業なのですが、システム運用の業務に携わっている社員も少なくないので、現場からの経験談(もちろん、派遣先との守秘義務に触れない範囲で)も聞くことができました。
営業開始に先立ち、まずは市場調査と現場の情報をもとに、営業やマーケティングのプランを立てました。当初、競合製品として想定していたのは、国内の大手ベンダーさんや海外のグローバルベンダーの製品で、それぞれ国内・海外の自動化市場で高いシェアを占めていて、価格も高いといわれるものばかりでした。
当然、価格を含めた営業政策も、最初はそれらの製品との競合を念頭に置いたものとなりました。

■世に出して初めてわかったニーズも

しかし、実際に販売活動を開始してみると、事前情報・予備知識とは異なる製品との競合や、予想だにしなかったニーズなどが、次々と発掘されたものです。
中でも、Ansible(アンシブル)をはじめとするOSS(オープンソース・ソフトウェア)の浸透度には、当初の想定を上回るものがありましたが、OSSを含む既存の運用自動化ツールを導入してみたものの、うまく活用できていなかったりとか、そもそも運用自動化の導入自体がまだ、というお客様も多かったのも意外でした。

POLESTAR Automation発売前の段階で「大手企業のユーザーさんはあらかた運用自動化を導入済み」「運用自動化は大手中小入り乱れてレッドオーシャン」といった悲観的な情報も耳に入ってきていたので、実はまだまだビジネスチャンスのある市場だという手応えが掴めたことには、製品化の実務を担当した身としては、ほっとしているところです。

もちろん、弊社としても、実際の市場状況に素早く対応することを心掛けています。昨秋から導入したサブスクリプション方式の料金体系は、OSSからの乗り換えのお客様を想定して用意させていただいたものですし、発売当初なかったネットワーク機器の制御機能も、お客様からのご要望を受けて追加したもののひとつです。
あとはお客様がどの運用自動化製品を選ばれるか、に尽きるわけですが、展示会や訪問デモなどを通じて、お客様から高い評価をいただいているのが、POLESTAR AutomationならではのユーザーフレンドリーなGUIです。

展示会はしばらくありませんので、定期的に開催しているセミナー営業へのデモ依頼を通じて、運用自動化の導入や乗り換えを検討されている皆様方に、ぜひともPOLESTAR Automationの扱いやすさを実感していただければと思います。

以上、2018年初めてのPOLESTARコラムは1月中を死守すべし! と考えていたのですが、別件で動いていたこともあって、今日の脱稿となりました。新年のご挨拶のタイミングは完全に逸してしまいましたが、引き続きお客様のニーズを最優先に進化を続けるPOLESTAR Automationでありたいと、関係者一同願っております。



MySQLに対応、サブスクリプション方式を導入

公開日:2017/12/26   更新日:2025/04/01

ワイドテック プロダクト企画担当のYです。

ここに個人的な話を書くのは気がはばかられるのですが、実は10年ちょっと前から、いわゆる「自宅サーバー」を立てています。自宅で使用している可変IPのインターネット回線を経由し、外から自宅のLANに接続できるようにするためです。

自宅サーバーを立てる動機や利用方法はさまざまでしょう。おそらくはファイルサーバーが最も多いと思いますし、WordPressなどを使ってブログ用のサーバーを自宅に立てているというケースもあるようですが、自分の場合は、自宅にある動画ファイルを外で携帯電話などを使って見られるようにするのが最初の目的でした。この時の個人的な経験は、後の「GLORIAS-HD」という動画配信システムを開発する上で役に立ったと思っています。

■「LAMP」あるいは「LEMP」について

弊社もIT企業ですので、社内に一通りのネットワーク環境やサーバーがありますが、自分自身は情シス部門の社員ではなく、そういったシステムについてはアンタッチャブルな立場ですので、サーバーとかネットワークとかの勉強や実践は、会社のシステムではなく、もっぱら自宅サーバーと宅内LAN上で行うことになります。
最初の自宅サーバーからずっとWindows一筋でしたが、今年はひょんなことからシングルボードコンピュータ(”ラズパイ”の愛称で知られる「Raspberry Pi」が有名ですが、自分のは別のSBCです)を使い始め、初めてLinuxでサーバーを構築しました。
ところで、オープンソース主体でWebサーバーとその応用サービスの構築に用いられる、Linux(オペレーティングシステム)・Apache(Webサーバー)・MySQL(データベース)・PHP(プログラミング言語)の4点セットを「LAMP」と呼ぶそうです。
MはMySQLからフォーク(分岐)されたMariaDBを指していたり、PはPerlやPython、あるいはPHPを含めて全部入りの場合もあるようですし、最近ではWebサーバーにApacheではなくNGINX(エンジンエックス)を用いる「LEMP(EはNGINXの実際の読み方から”Engine”のE)」も増えてきているようです。
いずれにせよ、LAMPないしはLEMPはWebを使って何かを実現する上で、ほぼファーストチョイスになっている定番の手段といえます。POLESTAR Automationのお客様が管理されている対象サーバーにも、LAMPやLEMPが結構多いことと思います。

■MySQL対応とサブスクリプション方式で「導入しやすさ」を追求

と、ここまで長い前置きになってしまいましたが、先日発表した通り、POLESTAR Automationがようやく、LAMPないしはLEMPの「M」である「MySQL」への対応が完了し、弊社内で動いているテスト・評価用のPOLESTAR Automationも、MySQLを用いての再構築が完了したところです。
テンプレートやジョブの格納と実行を筆頭に、POLESTAR Automationにおいてデータベース(DB)は大変重要な役割を担っていますが、これまでは有料のDBMSを組み合わせていただく必要があり、コスト面などからオープンソースDBを使いたい、というご要望を導入検討中のたくさんのお客様よりいただいていました。
LAMP/LEMPはもちろん、Windowsベースのサーバー上でも、おそらくMySQL(派生のMariaDBを含む)は最も広く使われているオープンソースDBであることは確実でしょう。
さらに、ライセンス体系についても従来のライセンス買い取り型に加え、新たに1年単位更新(初回のみ2年間のご利用前提)のサブスクリプション(定期利用権)方式を用意しました。MySQL対応と合わせて、POLESTAR Automation導入へのハードルはグッと低くなったのではないかと思います。
新しい年の始まりには、ぜひともPOLESTAR Automationによる運用業務の自動化をご検討いただければ幸いです。

さて、前回のコラムで年末のあいさつっぽいことを書いてしまっていますが、今回が本当に2017年最後のPOLESTAR Automationコラムとなります。
この1年、POLESTAR Automationプロダクトサイトをご覧いただき、ありがとうございました。
そして、来年2018年も引き続き、POLESTAR Automationはさらなる進化を続けてまいります。ご期待ください。



運用業務の標準化と「属人化の排除」

公開日:2017/11/30   更新日:2025/04/01

ワイドテック プロダクト企画担当のYです。

2017年の11月も今日で終わり、今年もあと1か月を残すのみとなりました。
今月は先月の「CEATEC JAPAN」に続き、同じ幕張メッセで行われた展示会「Japan IT Week 秋」に出展。2か月連続の展示会出展となりました。
そもそも今年は6月の「Interop Tokyo」を含めてPOLESTAR Automationを3回も展示会に出展したのですが、回を重ねるごとに弊社のブースに訪れるお客様が増えていったのには、スタッフ一同驚くばかりです。Japan IT Week 秋は弊社が今年出展した3展示会中、全体の来場者数は最も少ないのですが、弊社ブースへの訪問者数では最多という結果となりました。それだけ、運用自動化へのお客様の関心が今年1年で高まってきたという証左でもあるのでしょう。それにつれてPOLESTAR Automationの認知度も上昇していったのだと嬉しいのですが…

運用業務の標準化と「属人化の排除」

■運用業務を「標準化」するということ

実はCEATECとJapan IT Weekの間の時期に、弊社のPOLESTAR Automation担当エンジニアたちが開発元のエンジニアから1週間の研修を受ける機会がありました。 その一環として、実際にPOLESTAR Automationを使ってサーバー8,000台を運用しているデータセンターの現場を見せていただく機会もあったそうです。 このデータセンターでは、POLESTAR Automationの導入に先立ち、組織全体での取り組みとして、業務内容別に豊富な経験と高い専門性を持ったリーダーを任命しました。 その上で、従来の運用業務内容を検証したところ、従来の運用手順をそのまま踏襲するのではなく、POLESTAR Automation導入を機により効率の高い業務手順を確立した方が効果が高い、という結論に至ったとのことです。 つまり運用業務を全面的に見直した上で、業務のひとつひとつをPOLESTAR Automationのテンプレートに落とし込んで「標準化」するところからスタートしたわけです。そこには経験豊富で専門性の高い、部門別リーダーたちの経験が生かされたのはもちろんであり、ひとつひとつのテンプレートには、運用のベストプラクティスが凝縮されているといえます。

■今一度「属人化の排除」について

こうして、このデータセンターではPOLESTAR Automationを用いて運用業務の標準化を達成し、その後のサーバー増設や新しい業務の追加なども、効率よく実施することが可能となったそうです。
ところで、実際の運用現場では、知識と経験の豊富な担当者に重要な業務が集中してしまった結果、他の担当者に引き継ぐことができないレベルでその業務が専門化してしまっている、という話をよく耳にします。今年の3回の展示会でも、複数の来場者の方々からお聞きしました。
いわゆる「属人化」と呼ばれる現象です。
そうした担当者が体調を崩して業務に携われなくなったり、転職してしまったりすることは、運用業務における最大級のリスクとなります。たとえ高度なスクリプトや複雑な手順書を残して行ったとしても、それらを解釈して使いこなせる人がいなければ、無用の長物です。
効率化や省力化、ヒューマンエラーの撲滅など、運用自動化ツールの導入によって運用業務を標準化するメリットは計り知れませんが、中でも最も重要なもののひとつが、業務を特定の担当者に対する隷属から解放すること、つまり「属人化の排除」にあるといえます。

■既存の運用資産と人を無駄にせず、運用を標準化する

ところで、かつて運用自動化ツールは「属人化」対策の切り札、最終兵器のように持て囃されたこともありました。しかし、今年の3展示会で運用自動化ツール(特にオープンソースのもの)を導入されているという複数のお客様からお聞きしたのは、そうしたツールの導入によって、そのツールへの新たな「属人化」が生まれてしまった、という皮肉めいた体験談です。
運用自動化ツールには、RubyやPythonといったプログラミング言語や、YAMLのようなスクリプト書式の知識が不可欠なものもあります。これらは開発向けの言語として実績があったり、書式がシンプルで覚えやすかったり、という特徴もありますが、使うのに運用とは別のスキルが求められる、ということでもあります。
いずれにせよ、運用の人が新たにこうした言語や書式をマスターするか、開発と運用との連携を模索しなければなりません。言語や新しいスクリプトの読み書きに堪能な特定の担当者への業務集中、すなわち前述の『新たな「属人化」』が発生する可能性も高まります。
開発と運用の連携は「DevOps」として肯定的に捉える向きもありますが、運用現場の内部や周辺に、必ずしも開発経験者がいるとは限りません。
他の多くの運用自動化ツールと異なる、POLESTAR Automationならではの特徴のひとつに、特殊なスクリプト書式を用いていないことが挙げられます。POLESTAR Automationに標準装備されている200余のテンプレートは、各対象OSの標準的なスクリプト書式を用いて記述されたものです。UNIX/Linux系ならシェルスクリプト、WindowsではVBScriptなどです。
これは即ち、POLESTAR Automationなら、運用を担当しておられる皆様が日頃お使いのスクリプトがそのまま使える、ということでもあります。
POLESTAR Automationなら、既存の運用資産を無駄にしたり、人的資源を浪費することなく、属人化しにくい運用の自動化・標準化が達成できると、弊社では考えています。

以上、まだ年末のあいさつには時期が早いですが、今年3回にわたって出展した弊社の展示会ブースにご来場いただいた皆様に、このコラムの場をお借りして今一度お礼を申し上げます。
あと、来年の展示会出展スケジュールも、実は既に決まっています。こちらは会期が近づいてきたところで、またこのWebサイトを通じてご案内させていただきます。ご期待ください。



新機能「ネットワーク自動化」紹介と「働き方改革」

公開日:2017/09/13   更新日:2025/04/01

ワイドテック プロダクト企画担当のYです。

昨今、メディアにおける頻出ワードのひとつが「働き方改革」。セミナーやイベントも多数開催されていますね。

長時間・時間外労働の削減と労働生産性向上を目指し、多様かつ柔軟な働き方を模索する一連の動きは「ワークスタイル変革」と呼ばれてきましたが、昨年9月末に首相の私的諮問機関「働き方改革実現会議」が立ち上がった時点から、国の政策課題「働き方改革」となりました。

このタイミングで「働き方改革」が政策にまで浮上したのは、とりわけ2020年の7月に東京で開催されるオリンピック・パラリンピック(「オリ・パラ」と略すそうです)に向けた準備のひとつといえます。

会期中の混雑回避、ボランティアなど「オリ・パラ」運営に欠かせない人材確保の必要性に加え、かつて「エコノミック・アニマル」だとか「ワーカホリック(仕事中毒)」などと呼ばれて主に欧米世界からの非難の対象となった、日本の労働環境(特に長時間労働)に対するイメージの改善を図って行こう、という目的もあるのでしょう。

■IT運用業務における「働き方改革」とは?

主にホワイトカラーの業務において、「働き方改革」の中核として位置付けられるのが、場所に関係なく業務を可能にする「テレワーク」です。テレワークといえば「在宅勤務」を真っ先に連想される方が最も多いかと思いますが、自宅以外の場所(コワーキングスペースなど)で行うリモートワーク、モバイルワークなども、テレワークのバリエーションといえるでしょう。

通勤・移動時間の節減を通じ、時間あたりの労働生産性向上を図ろうというのがテレワーク推進の主な目的ですが、前回の本欄でも取り上げた「BCP対策」としても有用です。テレワークの可能な環境、つまりどこにいても仕事のできる基盤が整備されてさえいれば、事業所や交通機関が災害に遭ったり、「オリ・パラ」などでオフピーク通勤や移動の自粛などが求められることがあったとしても、業務を滞りなく行うことが可能となるでしょう。

しかし、ITシステム・サービスの運用業務においては、テレワークの全面展開は困難と思われます。システムが膨大すぎて外部から管理するのが難しい上、ハードウェアにまつわる物理的な作業やセキュリティなどの都合もあり、現場、つまりサーバールームでの作業がどうしても主体にならざるを得ないからです。

IT運用業務における作業時間の大半は、目視点検やコマンドの入力に割かれ、マンパワーの多くもそこに投入されます。24時間・365日休みなく動き続けるシステム・サービスの運用を維持するため、深夜・早朝や休日の勤務も発生しがちです。

時には、ヒューマンエラーによるコマンド投入や操作ミスも発生するでしょう。ミスの内容にもよりますが、ヒューマンエラー要因を含む障害からのリカバリーには、通常の作業よりも多くの時間を要するのが普通でしょう。

そんなIT運用業務の改善に役立つのがPOLESTAR Automationで、導入により業務の標準化が促進され、作業効率・労働生産性の向上やヒューマンエラーの原理的な撲滅が可能となり、休日・時間外業務の劇的な削減につながる…というのは、私たちがこれまでずっと訴え続けてきたことですが、これこそIT運用業務における「働き方改革」の実現にほかならないでしょう。

運用業務の生産性向上を進める上で、何よりも重要かつ最も効果的なのは、「自動化システムに任せられる業務はすべて任せてしまう」ことなのですから。

■POLESTAR Automation「ネットワーク自動化機能」の概要

さて、去る11日、POLESTAR Automationへの「ネットワーク自動化」機能追加に関するプレスリリースを配信しました。 POLESTAR Automationでの、ルーターやL2/L3スイッチといったネットワーク機器の制御を通じた自動化の実現については、昨秋の製品発表以来、弊社の営業がお客様を回ったり、あるいは展示会などに来訪されたお客様の声を伺ったりする中で、特に多くのご要望をいただいていたもののひとつです。

まず、ワークスペース(画面左側)に「ネットワーク」という項目が追加され、ルーターやL2/L3スイッチを登録すると、機器ごとのステータスが見られるようになりました。

また、「ネットワーク」のワークスペース(または[構成]-[ジョブ作成]メニュー)には、ネットワーク機器向けの自動化ジョブを作成するための「ネットワークスクリプトジョブ」という項目が追加されました。

これまでのサーバー向けのジョブ作成と同様、わかりやすく扱いやすいと評判のウィザード形式でコマンド入力や対象機器の指定を行うだけで、簡単にネットワーク機器向けの自動化ジョブが作成できます。

■ネットワーク自動化はエージェントレスで実現

ところで、これまでPOLESTAR Automationでは、サーバーに対する各種の自動化を「エージェント方式」で実現してきました。管理対象サーバーに「エージェント」と呼ばれる小さなプログラムを組み込んでデータやコマンドをやりとりするこの方式にさまざまなメリットがあることは、以前から再三ご紹介してきましたが、ルーターやL2/L3スイッチなどのネットワーク機器に対しては、エージェントのような常駐プログラムを外部から組み込むのは無理です。

そこで、今回開発したネットワーク機器の制御用には、SSHなどを利用し、POLESTAR Automation(管理サーバー)からルーターやスイッチに対してコマンドを発行・送信する手法を開発し、適用しています。
で、鋭い方ならお気付きでしょう。この手法って、実はネットワーク機器以外にも応用できるんじゃないの? と…

今回のネットワーク自動化対応により、「自動化システムに任せられる業務」の幅がさらに広がったPOLESTAR Automation。きっと御社IT運用業務の「働き方改革」にもお役に立てると思います。
ネットワーク自動化機能を搭載した最新のPOLESTAR Automationは、10月3日から6日までの「CEATEC JAPAN 2017」で初公開します。ぜひともCEATECワイドテックブースにご来場ください。



「CEATEC JAPAN 2017」出展決定! & 「BCP」のお話

公開日:2017/09/06   更新日:2025/04/01

ワイドテック プロダクト企画担当のYです。

前回6月から久々となる今回のコラムも、前回に続いて展示会の話題です。
コーポレートサイトの方では4日付けで発表済みなのですが、おかげ様で大盛況に終わった6月の「Interop Tokyo 2017」出展に続き、POLESTAR Automationがまたも展示会に出展することになりました。
しかも10月の「CEATEC JAPAN 2017」、11月の「Japan IT Week 秋(クラウドコンピューティングEXPO)」と2か月立て続け、さらに2回続けて(Interopから数えると3回連続で)会場は幕張メッセです。今回は、まずCEATEC出展についてのご案内です。

CEATEC JAPAN

CEATECという展示会は、かつては「エレクトロニクスショー(エレショー)」という名称で、最初の前身から数えると60年近くもの非常に長い歴史があり、来場者数も昨年で14万人以上と、国内のIT系展示会としては屈指の規模です。
長い間「エレショー」「CEATEC」といえば電子機器、それもBtoBよりもコンシューマー寄りの、いわゆる家電製品などがメインの「電子立国・日本」を象徴するイベントとして知られてきましたが、産業構造の変化などに伴い、昨年(2016年)からは「サイバーフィジカルシステム(CPS)とモノのインターネット(IoT)」の展示会として、スマート社会に欠かせない製品・ソリューションを展示するイベントへとコンセプトが変更され、今年は新生CEATECとして2年目を迎えます。

ワイドテックにとって、今回は初めてのCEATEC出展となり、しかもPOLESTARAutomationと、弊社のもうひとつの主力製品分野である電話関連ソリューションが揃い踏みする出展というのも初めてです。
POLESTAR Automationに関して今回の目玉はというと、実は4日のリリースにはしれっと記載済みなのですが、待望の「ネットワーク機器自動化機能」が搭載されることになり、CEATECがその最初のお披露目の場となります。この機能の詳細については後日またご紹介しますが、とりあえずネットワーク機器自動化の搭載は、決定事項です。

さて、ちょっと余談になりますが、先日、なぜか「BCP対策」という検索ワードでこのサイトに来訪してきた方がおられました。
BCPはBusiness Continuity Planの略、日本語では「事業継続計画」などと訳されますが、毎年9月1日の「防災の日」が意識される時期だったので、その影響もあったのでしょう。確かにPOLESTAR AutomationでIT運用を自動化、テンプレート化することは、災害を含む各種障害からの迅速な復旧を可能にする、広い意味でのBCP対策ソリューションといえなくもないですが、少なくとも当サイトには、今回のコラムが載るまで「BCP」という単語を登場させたことは、一度もありません。

ただし、弊社全体に目を向けると「BCP対策」は非常に重要なキーワードです。
電話転送自動切替システム「AUTOWARP」、クラウド型の電話転送サービス「転送録」など、BCPに直接役立つソリューションを提供しているからです。
このうちAUTOWARPは、発売から今年でちょうど10年を迎えた、オンプレミス型のロングセラー製品です。これまでに最大規模のお客様が5,000回線、2番目に大きなお客様は4,000回線分の切替設備を導入されているのですが、前者のお客様には、まさにBCP対策として採用していただきました(ちなみに後者のお客様は、ほぼ毎日切り替えておられます)。つまり、非常時に電話回線をバックアップ用の回線網に切り替えるのが目的で、年に数回のBCP訓練(切替テスト)を行う以外、普段は動いていないわけです。
このBCP用に導入された史上最大回線数のAUTOWARPが、過去に一度だけ、テスト以外で実際に稼働したことがありました。そう、東日本大震災の時です。
それまで幾度か繰り返されてきたBCP訓練の通り、AUTOWARPは震災当日、5,000回線を遅滞なく自動的にバックアップ回線に切り替え、期待された役割を果たすことができました。

今回のCEATECには、そんなAUTOWARPや、そのクラウド版としてスタートした「転送録」、それに両電話転送系製品のチームが新たに開発し、今月中に満を持して発表予定の画期的な新サービス(こちらもBCPに最適)も、会場でご覧いただけます。
これらの電話関連製品/サービス、そして我らがPOLESTAR Automationをひっくるめて、今回初出展となるワイドテックブースのテーマは、

「自動化(Automation)」

です。
CEATECのワイドテックブースは、幕張メッセ第1ホール入口の階段を降りて左手すぐ、という非常にわかりやすい場所にあります。
どうか、本コラムをご覧いただいた皆様も、ぜひともご来場いただければ幸いです。



POLESTAR Automationの強みって?(2) – 導入から自動化開始までを短期間で

公開日:2017/06/15   更新日:2025/04/01

ワイドテック プロダクト企画担当のYです。

6月7日から9日までの3日間、千葉市・幕張メッセで開催された国内最大のICTイベント「Interop Tokyo 2017」に、POLESTAR Automationを出展しました。
POLESTAR Automationの展示会出展は2回目だったのですが、ブース規模を前回の2倍として臨んだ今回は、ご来場いただいた方の数がなんと前回の 5倍 を超え、正直に言って予想を上回る大盛況となりました。

POLESTAR Automationの強み
実は、自分はPOLESTAR Automationがまだ企画段階にあった昨年も、Interopには行かせていただいたのですが、昨年は運用自動化製品の出展がほとんどありませんでした。今年は弊社以外にも複数の製品が出ており、他社さんのブースをチラッと覗かせていただいた限りでは、どちらも結構盛況だったように思います。運用自動化が注目分野になりつつあることを、改めて実感させられました。

さて、今回はPOLESTAR Automationの強みをご紹介するシリーズの第2弾として「導入の早さ」、すなわちIT運用を自動化すると決めてから、実際に自動化運用を行うまでの作業手順の簡単さ・手軽さ、期間の短さについてまとめてみます。
  1. 豊富なレディメードのテンプレート
  2. まずは200種類超という「テンプレート」の豊富さです。
    テンプレートについては、以前のコラム「自動化の手順書はどう作るか?」でも言及しましたが、POLESTAR Automationにおけるテンプレートとは、ある業務を行うためのスクリプトの集合体です。
    そもそも、運用自動化の導入から運用開始までの過程で、もっとも長い時間と手間を要するのが「現状の運用業務の分析」と「自動化ソリューションへの落とし込み」つまりスクリプティングなどと呼ばれる準備作業です。
    POLESTAR Automationでは、基本提供されるテンプレートをご利用いただき、IPアドレスのような環境要素をわずかに手直しするだけで、多くの業務はそのまま自動化できるようになっています。しかし、既存のテンプレートではカバーしきれないものもあるかと思いますので、その際は弊社でカスタムテンプレートの開発にも応じさせていただきますし、もちろん、お客様の方で直接テンプレートを作成していただくことも可能です。
    ちなみに、POLESTAR Automationが開発された最初の時点では、テンプレートは1つもなかったのですが、開発の過程で最初のお客様の業務分析を通じて多数のテンプレートが作成され、その後の構築案件では、そうしたテンプレートを使い、短期間で構築を終わらせることが可能となりました。中には、導入決定から自動化運用開始まで1か月程度で完了した事例もあるそうです。

  3. 導入の手軽さでも有利な「エージェント型」
  4. Interopにご来場いただいた皆様から一番多かった質問は「エージェント」に関するものでした。なんと半分以上もの方が、エージェントについて何らかの言及をされていたように思います。
    運用自動化製品には大別して「エージェント型」と「エージェントレス型」があり、POLESTAR Automationでは前者を採用しています。
    エージェントレス型は、SSHやSNMPといった既存のプロトコルを通じて構成情報を取得したり、コマンドやスクリプトを投入・実行したりするものです。文字通りサーバーにプログラムを追加で導入する必要がないので、耳当たりがよいようです。比較的近年に商品化された自動化製品は、エージェントレス型が多いと思います。
    ただ、Interopでは、実際にエージェントレス型の導入経験をお持ちの複数のSIer様から、SSHのアカウント設定など、最初に行う作業が意外に大変だった、という声もお聞きしました。
    一方、エージェント型の運用自動化ソリューションであるPOLESTAR Automationでは、「エージェント」と呼ばれる小さなプログラムを管理対象サーバーにインストールし、そのエージェントが管理サーバーと通信することで、自動化タスクを実行します。
    エージェント型は、エージェントレス型に比べて機能やセキュリティの面でもいろいろなメリットがあるのですが、その辺のご紹介は別の機会に譲るとして、今回のテーマである「構築期間の短縮」にも大いに役立っています。
    管理対象サーバー側で行う設定は「エージェントのインストール」、本当にこれだけ。あと、ファイアウォールを導入している場合はエージェントとマネージャーサーバー間の通信に必要なポートの開放も必要ですが、使用するポートは1個だけです。
    どこまでもシンプル。管理対象のサーバーが増えてもエージェントのインストールだけで済み、検索機能により管理サーバーへの登録も簡単です。

  5. Webブラウザで管理できて、しかも扱いやすいGUI
  6. あと、テンプレート開発を含む管理用のユーザーインターフェース(UI)がWebブラウザであることも、POLESTAR Automationのメリットでしょうか。
    他社さんの自動化製品では、管理用端末に専用のGUI版管理ツール(たいていWindows版だけ)をインストールして使うのが一般的ですが、わざわざツールをローカルにインストールすることなく、Webブラウザを開いてそのままサクッと使えるのは便利だと思います。
    このGUI、Interopにご来場いただいた皆様からも、直感的でわかりやすいとの声を多数いただきました。UIのわかりやすさは習熟期間の短縮や、自動化開始後の運用管理をスムーズに行うことにもつながるはずです。


今回のInteropは、多くのお客様とのダイレクトなコミュニケーションの機会として、今後のPOLESTAR Automationの営業やマーケティング活動についても、さまざまなヒントを得る場にもなりました。

ご来場いただいた皆様に、改めて感謝いたします。



POLESTAR Automationの強みって?(1) – 点検の自動化

公開日:2017/05/08   更新日:2025/04/01

ワイドテック プロダクト企画担当のYです。

弊社営業がお客様と商談を行う中で、最も頻度の高い質問が「POLESTAR Automationの強みって、どのあたり?」だそうです。

弊社内にIT運用自動化ソリューション製品のプロジェクトが立ち上がって以来、製品を世に送り出す準備を進めるにあたり、効果的なマーケティング実施のために他社製品との比較は欠かせませんでした。一言で「運用自動化」と言っても、運用業務の範囲は幅広く、多岐にわたっています。そして、巷にひしめく運用自動化製品にも、それぞれ得意・不得意があることが、徐々にわかってきたような気がしています。

運用管理製品全体のカテゴリー内において、監視(モニタリング)などと比べてまだ普及の途上にある運用自動化製品ですが、日常の運用業務において最も多くの人手と時間が割かれ、最も大きなウェイトを占めているのは「点検」だと思います。

POLESTAR Automationにおいては、広い意味で「点検」と呼べる業務を、次のように分類しています。

  1. 「システム点検」
  2. 対象サーバーに対し、OSやハードウェアの稼動状態の点検を実施するものです。動作の有無はもちろん、バージョンやパッチレベルなど、さまざまな点検を行うことができます。結果はPOLESTAR Automationの管理UIから、いつでも確認することができます。
    POLESTAR Automation 点検の自動化
  3. 「脆弱性点検」
  4. 数年前に猛威を揮った「Heartbleed」のような既知のセキュリティホールに対する点検も含まれますが、対象サーバーごとのパスワードの設定、アカウント権限、OSの不要なサービスなど、システム運用において脆弱性につながる要素を点検し、適切な措置を取ることを促すのが主な目的です。
    POLESTAR Automation 点検の自動化
  5. 「監査(Audit)」と「スナップショット」
  6. POLESTAR Automationでは、対象サーバーの構成・設定の変化を追跡することを「監査」と呼んでいます。監査の方法としては、
    1. 既定のサーバー標準構成に対する差分の比較
    2. 特定の時点で取得した構成情報との差分の比較
    の大別して2種類の方法があります。2. を実施するには、その時点でのシステム構成情報を取得する「スナップショット」機能を用います。POLESTAR Automationには、スライダーを使って設定の変化を追跡する機能が備わっており、何らかの設定変更による問題発生時に、原因を突き止めるのに便利です。
    POLESTAR Automation 点検の自動化

POLESTAR Automationの一番の強み、それは、こうした点検関連機能の充実度だと考えています。

POLESTAR Automationは、開発時点でサーバー3,000台を運用されていた、とあるデータセンターの点検業務を自動化・省力化したいというニーズからスタートしています。現在は複数拠点で7,000台にまで増えているそうですが、運用台数が増えても点検に要する時間や手間はほとんど変わっておらず、運用に携わるオペレーターの人員もそれほど増やしていないとのことです。

「人がやるより、早くて正確。」-このPOLESTAR Automationのキャッチコピーをリアルで実践されているのが、このお客様だといえます。



セミナーはじめます

公開日:2017/05/08   更新日:2025/04/01
POLESTAR Automation セミナー風景

ワイドテック プロダクト企画担当のYです。

POLESTAR Automationを発表し、このWebサイトを立ち上げてから半年以上が経過しました。当然のごとく、認知度0の状態からのスタートでしたが、幾度かの展示会や商談イベントを通じて徐々に知名度が付いてきたのか、お問い合わせやデモ依頼の件数も徐々に増えてきております。

当コラムの第1回でも少し紹介しましたが、弊社は自社開発したシステムの運用等を目的に、多数の外勤社員を擁しています。客先勤務ながら、みんな弊社の社員ですし、中にはPOLESTAR Automationで自動化の対象となっているシステム運用業務に、オペレーターとして携わるメンバーもいますし、システム構築に従事する社員もいます。しかし、本社勤務の社員と比べると、担当以外の自社製品に触れる機会が少なくなりがちです。

そんな普段外勤中の社員にも、期待の新製品であるIT運用自動化ソリューションPOLESTAR Automationを知ってもらうべく、社内向けのセミナーをこの数か月間、繰り返し実施してきました。実機でPOLESTAR Automationを体験してもらうタイプの、いわゆるハンズオンセミナーです。

実は、弊社はPOLESTAR Automation発表から約1か月経った2016年の10月末に、創業以来長年慣れ親しんだ江東区亀戸から、秋葉原や神田にも程近い千代田区岩本町へと移転しました。従来よりも広くなったオフィスには、セミナーに使える会議室もできました。社内セミナーは、社外向けのセミナー開催に向けての経験を積む目的もありました。

そんなわけで、ようやく準備が整いましたので、いよいよPOLESTAR Automationの社外向けハンズオンセミナーを行っていくことになりました。詳しくは こちらで告知しています。

創業以来16年余、システムやWebサービスの構築と運用の経験を積み重ねてきた弊社、ワイドテックが満を持して送り出す運用自動化ソリューション・POLESTAR Automationを、実機で体験できるセミナー。運用自動化にご興味をお持ちの方から、自動化ソリューションの導入をご検討中の方まで、心より歓迎いたします。



自動化の手順書はどう作るか?

公開日:2016/09/30   更新日:2025/04/01

ワイドテックプロダクト企画担当のYです。

運用自動化ツールを指して「Runbook Automation(ランブック・オートメーション、手順書による自動化、ランブック自動化などの日本語訳あり)」、略して「RBA」という呼称がよく使われています。Runbookとは「手順書」を指します。

POLESTAR Automationを含め、RBAでは手順書を元に運用作業の自動化を行います。逆に手順書がない状態では、何もできません。

では、その手順書はどうやって作るのでしょうか。今回はRBAにおける手順書の作成についてご紹介して行きます。

RBAと手順書

何か決まった内容の業務・作業を、第三者が見てもその通りに実施できることを趣旨として、何か決まった内容の業務・作業を実施するための手順をまとめたのが、私たちが普段イメージする「手順書」でしょう。

運用自動化ツールにおける手順書は、ワープロソフトで手順書を作る要領で、手順を文章で箇条書きにして書いて行くわけではありません。作業は人ではなくコンピューターが行うわけですから、コンピューターが認識できる言語、つまり「プログラミング言語」を使って書かれることになります。

世間には既に多種多様な運用自動化ツール・ソリューション製品が提供されていますが、弊社のPOLESTAR Automationのように商用(有償販売)で提供している製品以外に、オープンソースのものもいくつか存在しています。その多くは、プログラミング言語に近い独自のスクリプト(書式)、ないしはプログラミング言語そのものをスクリプトとして利用し、手順書を書いて行くことが前提になっています。

自動化製品のお客様にヒヤリングしてみると、Perl、PHP、Ruby、Pythonといったプログラミング言語でそのまま手順書を書けることをメリットと考えているケースもありました。オープンソースのRBAの多くが当てはまります。しかし、運用のプロフェッショナルがプログラミングの知識を兼ね備えている例は、そう多くありません。となると現場で導入しやすいのは、できるだけプログラミング言語に頼ることなく、手順書をなるだけ簡単に作って適用できる製品、ということになります。

大まかに言って、商用製品ではオープンソースに比べ、手順書の作成過程をGUIなどの導入によって簡素化することに力が注がれており、そこが商用製品のオープンソースに対する差別化ポイントとなってもいます。

POLESTAR Automationでは、GUI上で目的に応じた手順書(「ジョブ」と呼んでいます)をウィザード形式で必要事項を入力して行く方式で、手順書を作成できるようになっています。またはシェルスクリプトやWindows PowerShellなどで提供される既存の業務テンプレートのプロパティを、自社のシステム構成に合わせて修正・適用することも可能です。

また、他社製品の中にはアイコンをドラッグ&ドロップして行き、プログラミングでいうフローチャート(流れ図)を作成する要領で、アイコンの間に線を引くことで手順書を作成できるものもあります。

GUIは万能ではない?

ところで、このコラムをお読みの方の中には、Webサイトの構築、Webページ(ホームページ)の作成経験をお持ちの方もいらっしゃるかもしれません。Webページは「HTML」という書式で作成されていますが、HTMLとはHyper Text Markup Languageの略で、言語を意味する “language” の語が含まれています。つまり、広い意味でHTMLもプログラミング言語の一種といえます。

初期のWebページは、文章にテキストエディターで直接、「タグ」という画面に出てこない書式情報を埋め込んで行く、いわゆる「手打ち」で作成していましたが、後にワープロソフトのごとく、WYSIWIG(画面上での編集がそのまま結果に反映される)タイプのWebページ作成ツールが出回るようになりました。凝った作りのWebページが増えるにつれて手打ちでは間に合わなくなったこともあり、今では趣味のWebページ作成者からプロのWebデザイナーに至るまで、そうしたWYSIWYGツールを利用するのが一般的になりました。

しかし、文字や画像を数ドット上げたり下げたりとか、左や右に寄せるとかといった細かい調整となると、HTMLやCSS(スタイルシート)のテキストソースを直接参照・編集して行う方が手っ取り早いケースも多く、今も昔もHTMLタグやCSS書式についての知識は欠かせないといえます。

GUIを使った手順書の作成も同様で、GUI上でのドラッグ&ドロップや線引きだけで、手順書が完成するわけではありません。IPアドレスやディレクトリ情報をはじめとして、手作業で入力すべき情報は数多く、ネットワークの構成や、自動化ツールからシステムを操作するのに必要なOS/ネットワークコマンドなど、それなりの知識はどうしても求められます。加えて、自動化を無駄なく、より効率的に行うために手順書の最適化を行うには、自動化スクリプトを手打ちできるレベルの知識が求められることもあるでしょう。

結局、Webページ同様、GUIツールでの手順書作成といっても、スクリプトの知識が全くない状態では難しいといえそうです。

導入してすぐに使える「Enterprise RBA」

POLESTAR Automationは「Enterprise RBA」を謳っています。

運用業務の豊富なノウハウと経験が活かされた、導入してすぐに適用できるレベルの手順書を最初から取り揃えて提供しようという考え方、つまり最初から運用自動化のベストプラクティス提供を目指し、導入のハードルを可能な限り下げようというコンセプト、それがEnterprise RBAです。

ある自動化製品では、とにかくテンプレートが豊富であることを謳っています。その数、なんと数千種類。確かにテンプレートをうまく組み合わせれば、自動化の枠組みを手軽に組み立てていくことができます。しかし、実際に各々の運用現場で必要とされるテンプレートの種類というのは、そのうちせいぜい数十種類ではないかと思います。

POLESTAR Automationのテンプレートは、量よりも質と実用性を重視して作成・提供しているものですので、簡単な手直しだけで業務に適用し、本格的な運用自動化を手軽に行うことが可能です。

Enterprise RBA – POLESTAR Automation、一度トライしてみませんか?



運用自動化ツールって何?

公開日:2016/09/30   更新日:2025/04/01

ワイドテックプロダクト企画担当のYです。

弊社で初めて運用自動化ツールの事業企画に着手したのは、約2年前に遡ります。その間、技術的検討と並行し、市場調査も進めてきましたが、企画着手当初ズブの素人だった自分が業界や市場を調べる上で当初悩まされていたのが、市場に出回っている数多の運用管理製品のうち、「運用自動化ツールって、いったいどの製品?」ということでした。

今回は運用自動化ツールのアウトラインを理解する上で欠かせない市場状況、ジャンル分けなどについてご紹介します。

(2022年9月27日追記)こちらの原稿を公開してから6年の時を経て、新たに「2022年最新バージョン」を公開しました。なんとこの記事を執筆してからもう6年が経っていました。早いものです。最新版では運用自動化のマーケットやツールがどのように変化を遂げているのかをめぐりながら、改めて「運用自動化」について考えています。「2022年版 運用自動化ツールとは?」もぜひご参考ください。

運用管理製品と運用自動化ツール

現在、IT製品市場全体において、運用自動化ツールというのは運用管理(システム管理)製品の1ジャンルと位置付けられるのが一般的です。つまり、運用管理という大分類のもとに、小分類としての自動化ツールの市場が存在しているわけです。

国内シェア上位の各ベンダーの場合、もともとNMSのようなシステム監視機能中心のツールからスタートし、後にジョブスケジューラやIT資産管理、そして自動化へとラインナップを拡張して行ったためと考えられます。自動化ツールは運用管理分野にあって、最も新しい市場といえます。

とある運用管理製品のシェア調査によれば、国内では上位の3社だけで市場の65%を占めている、いわば寡占状態にあるそうです。そんな寡占市場に、弊社が新規参入して勝ち目はあるの? と、社内でも疑問の声が上がったものですが、65%というのはあくまで運用管理製品という大分類全体での話であり、自動化に絞って見てみると、事情は異なるようです。

大手のSIerさんからお聞きした話では、シェア上位の運用管理製品の新規導入案件で、同製品のラインナップに自動化機能が含まれているにもかかわらず、自動化については別の製品を組み合わせて提案するケースが結構あるそうです。

つまり、運用管理全体では寡占市場ながら、自動化製品のシェアについては、必ずしも同様な寡占は起きていない、ともいえます。

ジョブスケジューラと運用自動化ツール

IT運用自動化、英語で「RBA(Runbook Automation)」とか「ITPA(IT Process Automation)」といった用語が登場したのは比較的新しく、2000年代も半ばに入ってからのことですが、RBA登場以前から運用業務の省力化を目的に広く使われていた「ジョブスケジューラ(ジョブ管理ツール)」は、メインフレームからの長い歴史を持っています。

運用の現場に携わっている弊社の外勤社員にヒヤリングしてみると、「自動化ツールは触った経験がないけど、ジョブスケジューラなら日常的に触っている」という例が少なくありませんでした。

ジョブスケジューラの役目は、「ジョブ(仕事)」として定義される作業を、あらかじめ定めた日時や頻度・間隔で実施することにあります。ある条件でのみジョブを動かしたり、逆に定期的に実施しているジョブを特定の条件では行わないようにしたり、といったジョブの例外的な制御も、一般に可能です。

運用自動化製品の中には、既存のジョブスケジューラがバージョンアップする形で自動化の概念を持つようになったものもあれば、同じシリーズ製品の中に、ジョブスケジューラと自動化ツールがそれぞれ独立して存在しているケースもあります。

POLESTAR Automationを含む商用の運用自動化ツールの多くも、こうしたジョブスケジューラの機能を持っていますが、ハードウェアやソフトウェアの状態を取得して構成・設定を変更したり、適切なコマンドを自動実行したり、リブートを掛けたり、といったところまでカバーし、多少なりともインテリジェントな要素を持ったものを、運用自動化ツールと定義することができると思います。

エージェント vs. エージェントレス

POLESTAR Automationでは、管理対象のサーバー(PC)ごとに「エージェント」というソフトウェアをインストールしていただく必要があります。

エージェントの役割は、サーバーの構成情報や稼働情報(CPU使用率、メモリやストレージの使用量、インストールされているアプリケーション…)をPOLESTAR Automationの管理サーバーでリアルタイムまたは定期的に取得できるようにしたり、必要に応じて管理サーバーから自動的に、または手動で送信されるコマンドを実行したり、ファイル配布を行ったり…といった、高度な自動化機能の実現に欠かせないものです。

一方で、他社の自動化製品には「エージェントレス」を謳うものがあります。文字通り、管理対象のPCにエージェントをインストールする必要がなく、サーバー側からの情報取得や自動化コマンドの実行を、SSHなどを使って行うものです。

エージェントを組み込むことで、アプリケーションのインストール状況を含めたより細かいPCの構成情報を把握し、不要・危険なアプリのアンインストールなどのコンプライアンス対策や、逆にアプリを含む各種ファイルの配布とインストールといった、より多彩で細かな制御を行うことができるようになります。管理対象のPCでエージェントソフトウェアのインストール以外に行うことは、基本的に、エージェントが通信するのに必要なTCPポートの開放だけです。

こうした機能の中には、エージェントレスでは実現できないものが少なくありません。POLESTAR Automationではエージェントを組み込む方式とすることで、多様な自動化機能をよりシンプルに実現できるのだとご理解いただければ幸いです。

エージェントが実現するPOLESTAR Automationの多機能

POLESTAR Automationは自動化ツールですが、ハードウェアの状態管理、OSのEOL管理やアプリケーションソフトウェアのインストール管理、コンプライアンス対策といった、監視ツールや資産管理ツールの領域に含まれる機能も実現しており、その多くにはエージェントプログラムが関与しています。

先達の各社様とは異なり、弊社では今のところ、運用管理領域においてはわずかなラインナップしか持っていません。そこで、日常的な運用に関する多くの業務を、POLESTAR Automationという単一のシステムで実現し、自動化可能とすることに注力しました。

既存の統合運用管理を導入済みながら、自動化はまだ、というお客様はもちろん、運用管理ツールを一切導入されていないお客様でも、POLESTAR Automationだけでかなりの運用業務負担を減らすことが可能かと思います。

POLESTAR Automation、きっと貴社の運用業務のお役に立ちます。

ぜひともご検討ください。



『なぜ今、自動化なのか?』プロローグ~運用の現場から~

公開日:2016/09/30   更新日:2025/04/01

はじめまして。ワイドテックプロダクト企画担当のYです。

POLESTAR Automation公式Webサイトの片隅で、運用自動化にまつわるコラムを連載して行くことになりました。更新は不定期になりますが、どうかよろしくお願いします。

初回は自動化の本題に入る前に、弊社がIT運用自動化製品を取り扱うに至った経緯を、簡単にご紹介します。

弊社の原点「NMSスーパーバイザーシステム」

弊社、ワイドテックという会社は、とある大規模なお客様のために開発した「NMS(Network Monitoring System、またはNetwork Management System)スーパーバイザーシステム」からスタートしています。NMSというのはネットワークの運用状況を監視・管理するためのシステムですが、巨大なデータセンターにおいては、ネットワークの規模が莫大なのはもちろん、NMS監視端末の数も非常に多くなり、1か所で管理するのは難しい状況でした。

そうしたお客様の課題を解決すべく、遠隔操作技術を応用し、複数のNMSを束ねて統合・集中的に管理するとともに、障害アラート機能などを連携させることで、ネットワーク障害の早期発見と迅速な復旧を目指したのが、弊社の開発したシステムです。統合監視がメインのシステムですが、自動化のコンセプトも含まれています。

しかし、NMSにせよ、弊社のシステムにせよ、操作するのは結局「人」です。障害の発見から通報までは自動で可能ですが、通報に気付いて障害からの復旧に至るまでの作業は、人がすべてやらなければなりません。自社システムの運用のため、そのお客様のもとに社員を常駐させたことが、結果的に技術人材派遣事業への進出となり、今では同事業が、弊社の売上のかなりの部分を占めるに至りました。

IT運用の現場体験で知った「属人化」の実態

このコラムを執筆しているのは、今回のPOLESTAR Automationの製品化にあたり、技術以外の実務全般を担当した、末端の一社員です。縁あってこの会社に入る前から、ずっとIT系の商品企画(主にBtoC、いわゆるコンシューマー畑)に携わってきたのですが、実はバリバリの文系(社会学部)出身で、各種の技術は上っ面でしか理解していません。しかし、現場が忙しくて人手不足の時にはそんな文系の自分ですら、ITサービスの運用現場に駆り出されるのが、この会社なのです。

とある現場で、文系でもできる手順書などの資料整理のお手伝いを担当しつつ、日常業務として従事していたのが「目視点検」です。毎日2回、朝と夕方にマシンルームにあるサーバー、ルーター、ネットワークスイッチ、ファイアウォールなどが正常に動作しているかどうかを、目で見て確認する業務です。

他に、毎日決まった時間に作業部屋のPCからスクリプトを走らせ、ネットワーク経由で各機器の稼働をチェックする業務もありました。点検用のスクリプトは自動で走るのですが、集計は手作業です。

連日、こうした作業の繰り返しです。決して難しい作業ではないのですが、来る日も来る日も同じ作業。正直、単調、退屈です。しかし、障害はいつ起きるかわかりませんから、決して疎かにはできません。

幸い、自分がその現場に出ていた間、大規模障害は発生しませんでしたが、ITサービスの運用現場においては、トラブルと100%無縁ということはありえません。何かあれば休日や、深夜の就寝中であるにもかかわらず、電話で現場に呼び出されて復旧対応に当たったというインフラエンジニアの経験談は、何度も耳にしました。しかも、そういう緊急対応に従事するのは、システム全体を理解し、1人で問題解決に当たれるレベルの、上級スキルを持つエンジニアであることが多いようです。

運用の現場においては、こうした上級エンジニアへの負担が非常に大きくなりがちです。知識と経験、そしてスキルを後進の人たちに伝え、個人への負荷を分散するためにも、行うべき業務をきちんと手順書にまとめておくことが重要でしょう。しかし、現実には業務に時間を割かれ、そうした手順書を書いたり、後進を教育したりする時間は取りづらいようです。結果、ハイレベルな業務ほど特定の人に依存しがちになってしまう、いわゆる「属人化」に至るわけです。

その人が病気になったり、何らかの理由で職を離れることになってしまったり…と考えると、なんだかゾッとしてきませんか?

エンタープライズRBA「POLESTAR Automation」が、運用業務を属人化から救う

「RBA(RunBook Automation=手順書による自動化)」という用語と出会ったのは、現場から本社に復帰してきて間もない頃です。手順書とか属人化とか日常点検とか、まさに自分がつい先日まで経験してきた数々のキーワードにピンと来たものです。

いろいろ調べて行くうちに、RBAこそが属人化を解決し、単調な日常作業の多くを自動化できる画期的な解決策、文字通りの「ソリューション」であると確信し、運用現場経験者の多い弊社の経験も活かせるプロダクトとして、商品化を目指して行くことになったのです。

日常点検のような、シンプルながら日頃の運用管理に欠かせない業務から、高度なスキルの求められる障害復旧手順まで、運用業務におけるさまざまな作業を手順書として記述しておけば、その通りに実行してくれる運用自動化システムがRBAです。しかし、前述のように多忙で責任も重い上級エンジニアには、手順書を書く時間がありません。そこで、想定される業務手順を可能な限りテンプレート化された手順書として提供し、そのまま、あるいは多少の手直しだけで適用できるのが、エンタープライズRBAソリューション・POLESTAR Automationです。

実は、このPOLESTAR Automationも、冒頭で触れた弊社のNMSスーパーバイザーシステムと同様、ある大規模顧客の運用自動化への要望に応じるために開発に着手したのが原点となっています。もちろん、性能や機能が優秀で使いやすいことが最優先なのですが、現場の声に耳を傾けてニーズを確実に汲み取り、ソリューションとして作り上げて行く開発元の姿勢に、同様な原体験を持つ弊社としても大いに共感し、共に事業を進めて行くことになったものです。

次回からは、運用自動化製品全般やPOLESTAR Automationについてのご紹介、そして、ひとつひとつのケースを掘り下げながらの自動化が必要な理由と、そのメリットについて書いていきます。