運用業務の標準化と「属人化の排除」

2017年11月30日

ワイドテック プロダクト企画担当のYです。

2017年の11月も今日で終わり、今年もあと1か月を残すのみとなりました。
今月は先月の「CEATEC JAPAN」に続き、同じ幕張メッセで行われた展示会「Japan IT Week 秋」に出展。2か月連続の展示会出展となりました。
そもそも今年は6月の「Interop Tokyo」を含めてPOLESTAR Automationを3回も展示会に出展したのですが、回を重ねるごとに弊社のブースに訪れるお客様が増えていったのには、スタッフ一同驚くばかりです。Japan IT Week 秋は弊社が今年出展した3展示会中、全体の来場者数は最も少ないのですが、弊社ブースへの訪問者数では最多という結果となりました。それだけ、運用自動化へのお客様の関心が今年1年で高まってきたという証左でもあるのでしょう。それにつれてPOLESTAR Automationの認知度も上昇していったのだと嬉しいのですが…

運用業務の標準化と「属人化の排除」

■運用業務を「標準化」するということ

実はCEATECとJapan IT Weekの間の時期に、弊社のPOLESTAR Automation担当エンジニアたちが開発元のエンジニアから1週間の研修を受ける機会がありました。 その一環として、実際にPOLESTAR Automationを使ってサーバー8,000台を運用しているデータセンターの現場を見せていただく機会もあったそうです。 このデータセンターでは、POLESTAR Automationの導入に先立ち、組織全体での取り組みとして、業務内容別に豊富な経験と高い専門性を持ったリーダーを任命しました。 その上で、従来の運用業務内容を検証したところ、従来の運用手順をそのまま踏襲するのではなく、POLESTAR Automation導入を機により効率の高い業務手順を確立した方が効果が高い、という結論に至ったとのことです。 つまり運用業務を全面的に見直した上で、業務のひとつひとつをPOLESTAR Automationのテンプレートに落とし込んで「標準化」するところからスタートしたわけです。そこには経験豊富で専門性の高い、部門別リーダーたちの経験が生かされたのはもちろんであり、ひとつひとつのテンプレートには、運用のベストプラクティスが凝縮されているといえます。

■今一度「属人化の排除」について

こうして、このデータセンターではPOLESTAR Automationを用いて運用業務の標準化を達成し、その後のサーバー増設や新しい業務の追加なども、効率よく実施することが可能となったそうです。
ところで、実際の運用現場では、知識と経験の豊富な担当者に重要な業務が集中してしまった結果、他の担当者に引き継ぐことができないレベルでその業務が専門化してしまっている、という話をよく耳にします。今年の3回の展示会でも、複数の来場者の方々からお聞きしました。
いわゆる「属人化」と呼ばれる現象です。
そうした担当者が体調を崩して業務に携われなくなったり、転職してしまったりすることは、運用業務における最大級のリスクとなります。たとえ高度なスクリプトや複雑な手順書を残して行ったとしても、それらを解釈して使いこなせる人がいなければ、無用の長物です。
効率化や省力化、ヒューマンエラーの撲滅など、運用自動化ツールの導入によって運用業務を標準化するメリットは計り知れませんが、中でも最も重要なもののひとつが、業務を特定の担当者に対する隷属から解放すること、つまり「属人化の排除」にあるといえます。

■既存の運用資産と人を無駄にせず、運用を標準化する

ところで、かつて運用自動化ツールは「属人化」対策の切り札、最終兵器のように持て囃されたこともありました。しかし、今年の3展示会で運用自動化ツール(特にオープンソースのもの)を導入されているという複数のお客様からお聞きしたのは、そうしたツールの導入によって、そのツールへの新たな「属人化」が生まれてしまった、という皮肉めいた体験談です。
運用自動化ツールには、RubyやPythonといったプログラミング言語や、YAMLのようなスクリプト書式の知識が不可欠なものもあります。これらは開発向けの言語として実績があったり、書式がシンプルで覚えやすかったり、という特徴もありますが、使うのに運用とは別のスキルが求められる、ということでもあります。
いずれにせよ、運用の人が新たにこうした言語や書式をマスターするか、開発と運用との連携を模索しなければなりません。言語や新しいスクリプトの読み書きに堪能な特定の担当者への業務集中、すなわち前述の『新たな「属人化」』が発生する可能性も高まります。
開発と運用の連携は「DevOps」として肯定的に捉える向きもありますが、運用現場の内部や周辺に、必ずしも開発経験者がいるとは限りません。
他の多くの運用自動化ツールと異なる、POLESTAR Automationならではの特徴のひとつに、特殊なスクリプト書式を用いていないことが挙げられます。POLESTAR Automationに標準装備されている200余のテンプレートは、各対象OSの標準的なスクリプト書式を用いて記述されたものです。UNIX/Linux系ならシェルスクリプト、WindowsではVBScriptなどです。
これは即ち、POLESTAR Automationなら、運用を担当しておられる皆様が日頃お使いのスクリプトがそのまま使える、ということでもあります。
POLESTAR Automationなら、既存の運用資産を無駄にしたり、人的資源を浪費することなく、属人化しにくい運用の自動化・標準化が達成できると、弊社では考えています。

以上、まだ年末のあいさつには時期が早いですが、今年3回にわたって出展した弊社の展示会ブースにご来場いただいた皆様に、このコラムの場をお借りして今一度お礼を申し上げます。
あと、来年の展示会出展スケジュールも、実は既に決まっています。こちらは会期が近づいてきたところで、またこのWebサイトを通じてご案内させていただきます。ご期待ください。