自動化の手順書はどう作るか?

2016年9月30日

ワイドテックプロダクト企画担当のYです。

運用自動化ツールを指して「Runbook Automation(ランブック・オートメーション、手順書による自動化、ランブック自動化などの日本語訳あり)」、略して「RBA」という呼称がよく使われています。Runbookとは「手順書」を指します。

POLESTAR Automationを含め、RBAでは手順書を元に運用作業の自動化を行います。逆に手順書がない状態では、何もできません。

では、その手順書はどうやって作るのでしょうか。今回はRBAにおける手順書の作成についてご紹介して行きます。

RBAと手順書

何か決まった内容の業務・作業を、第三者が見てもその通りに実施できることを趣旨として、何か決まった内容の業務・作業を実施するための手順をまとめたのが、私たちが普段イメージする「手順書」でしょう。

運用自動化ツールにおける手順書は、ワープロソフトで手順書を作る要領で、手順を文章で箇条書きにして書いて行くわけではありません。作業は人ではなくコンピューターが行うわけですから、コンピューターが認識できる言語、つまり「プログラミング言語」を使って書かれることになります。

世間には既に多種多様な運用自動化ツール・ソリューション製品が提供されていますが、弊社のPOLESTAR Automationのように商用(有償販売)で提供している製品以外に、オープンソースのものもいくつか存在しています。その多くは、プログラミング言語に近い独自のスクリプト(書式)、ないしはプログラミング言語そのものをスクリプトとして利用し、手順書を書いて行くことが前提になっています。

自動化製品のお客様にヒヤリングしてみると、Perl、PHP、Ruby、Pythonといったプログラミング言語でそのまま手順書を書けることをメリットと考えているケースもありました。オープンソースのRBAの多くが当てはまります。しかし、運用のプロフェッショナルがプログラミングの知識を兼ね備えている例は、そう多くありません。となると現場で導入しやすいのは、できるだけプログラミング言語に頼ることなく、手順書をなるだけ簡単に作って適用できる製品、ということになります。

大まかに言って、商用製品ではオープンソースに比べ、手順書の作成過程をGUIなどの導入によって簡素化することに力が注がれており、そこが商用製品のオープンソースに対する差別化ポイントとなってもいます。

POLESTAR Automationでは、GUI上で目的に応じた手順書(「ジョブ」と呼んでいます)をウィザード形式で必要事項を入力して行く方式で、手順書を作成できるようになっています。またはシェルスクリプトやWindows PowerShellなどで提供される既存の業務テンプレートのプロパティを、自社のシステム構成に合わせて修正・適用することも可能です。

また、他社製品の中にはアイコンをドラッグ&ドロップして行き、プログラミングでいうフローチャート(流れ図)を作成する要領で、アイコンの間に線を引くことで手順書を作成できるものもあります。

GUIは万能ではない?

ところで、このコラムをお読みの方の中には、Webサイトの構築、Webページ(ホームページ)の作成経験をお持ちの方もいらっしゃるかもしれません。Webページは「HTML」という書式で作成されていますが、HTMLとはHyper Text Markup Languageの略で、言語を意味する “language” の語が含まれています。つまり、広い意味でHTMLもプログラミング言語の一種といえます。

初期のWebページは、文章にテキストエディターで直接、「タグ」という画面に出てこない書式情報を埋め込んで行く、いわゆる「手打ち」で作成していましたが、後にワープロソフトのごとく、WYSIWIG(画面上での編集がそのまま結果に反映される)タイプのWebページ作成ツールが出回るようになりました。凝った作りのWebページが増えるにつれて手打ちでは間に合わなくなったこともあり、今では趣味のWebページ作成者からプロのWebデザイナーに至るまで、そうしたWYSIWYGツールを利用するのが一般的になりました。

しかし、文字や画像を数ドット上げたり下げたりとか、左や右に寄せるとかといった細かい調整となると、HTMLやCSS(スタイルシート)のテキストソースを直接参照・編集して行う方が手っ取り早いケースも多く、今も昔もHTMLタグやCSS書式についての知識は欠かせないといえます。

GUIを使った手順書の作成も同様で、GUI上でのドラッグ&ドロップや線引きだけで、手順書が完成するわけではありません。IPアドレスやディレクトリ情報をはじめとして、手作業で入力すべき情報は数多く、ネットワークの構成や、自動化ツールからシステムを操作するのに必要なOS/ネットワークコマンドなど、それなりの知識はどうしても求められます。加えて、自動化を無駄なく、より効率的に行うために手順書の最適化を行うには、自動化スクリプトを手打ちできるレベルの知識が求められることもあるでしょう。

結局、Webページ同様、GUIツールでの手順書作成といっても、スクリプトの知識が全くない状態では難しいといえそうです。

導入してすぐに使える「Enterprise RBA」

POLESTAR Automationは「Enterprise RBA」を謳っています。

運用業務の豊富なノウハウと経験が活かされた、導入してすぐに適用できるレベルの手順書を最初から取り揃えて提供しようという考え方、つまり最初から運用自動化のベストプラクティス提供を目指し、導入のハードルを可能な限り下げようというコンセプト、それがEnterprise RBAです。

ある自動化製品では、とにかくテンプレートが豊富であることを謳っています。その数、なんと数千種類。確かにテンプレートをうまく組み合わせれば、自動化の枠組みを手軽に組み立てていくことができます。しかし、実際に各々の運用現場で必要とされるテンプレートの種類というのは、そのうちせいぜい数十種類ではないかと思います。

POLESTAR Automationのテンプレートは、量よりも質と実用性を重視して作成・提供しているものですので、簡単な手直しだけで業務に適用し、本格的な運用自動化を手軽に行うことが可能です。

Enterprise RBA – POLESTAR Automation、一度トライしてみませんか?