1. 煩わしいパスワード管理

脆弱性対策の基本として、インフラ機器や各種システムにアクセスするためのパスワード管理の重要性は、広く認識されているところでしょう。
従来は不正ログイン防止のため、パスワードの複雑性を高め、定期的に変更することが推奨されてきました。しかし、「複雑性を高めて」、「頻繁に」となると、逆にパターン化したり、使いまわしが増えたりして、不正利用がされやすくなってしまうという危険性もあります。このため、最近の総務省のパスワード指針※1では、複雑なパスワードであれば定期的に変更する必要はないとしています。
しかし、パスワードの流出やアカウントの乗っ取りなどのセキュリティ事件が相変わらず頻発する中、「複雑性を高めて」「頻繁に」が可能になるのであれば、実施したいというお客様のニーズがありました。
※1 総務省「安心してインターネットを使うために」(外部リンク)

2. PW生成・変更自動化アドオンツールとは

「PW生成・変更自動化アドオンツール（以降アドオンツール）」は、POLESTAR AutomationとAPI連携し、パスワードの生成・変更・履歴管理を行うものです。
POLESTAR Automationだけでもパスワードの変更は可能ですが、パスワードそのものを生成する機能はありませんでした。そこで、パスワードの自動生成から変更、確認まで、一連の作業の最適化を図るためのアドオンツールを別途開発することにしました。
アドオンツールは、事前に設定された複雑性の要件（ポリシー）を満たすパスワードを生成し、対象となるネットワーク機器（複数）に一括投入※2することができます。現在はネットワーク機器用に開発されていますが、ご要望に応じてサーバ用にカスタマイズすることも容易です。
※2 複数の機器グループに分け、グループ毎に一括投入

3. アドオンツールの機能

アドオンツールの主な機能は、以下の5つになります。

• パスワードポリシーの設定
• パスワード生成
• パスワード変更
• 最新パスワード表示（アドオンツールで生成、変更分）
• パスワード変更スクリプト管理

3.1 パスワードポリシーの設定
図1に示すようにパスワードの複雑性、例外などを設定するものです。

文字数	6文字以上20文字以下で設定可能（最新のPCIDSS※3要件にも準拠）
組合せ可能な種類	英字、数字、特殊文字
除外文字（間違えやすい文字を対象外に）	数字の0（ゼロ）、英字(l,O,o）
必須文字種類	英字（大文字）、英字（小文字）、英字（大文字小文字どちらか）、数字、特殊文字

※3 クレジットカード業界の国際的なセキュリティ基準

図1　パスワードポリシー設定画面

3.2 パスワード生成
ポリシーに沿ったパスワードを自動的に生成します（図2）。

図2　パスワード設定画面

3.3 パスワード変更
現在はユーザーパスワードのみ変更可能ですが、今後、コンソールパスワードや特権モードパスワードなど、機器ごとに複数用意されているパスワードの変更にも対応していきます。

3.4 最新パスワード表示
対象となる機器グループ、ホスト名、IPアドレスから最新のパスワードを確認することができます（図3）。表示されたパスワードをCSVファイルとしてダウンロードすることもできます。

図3　最新パスワード確認画面

3.5 パスワード変更スクリプト管理
対象となる機器によってコマンド体系が異なるため、スクリプトの編集が可能になっています。

4. 利用効果

アドオンツールを利用することで、次のような効果を得ることができます。

• 任意の強度のパスワードを生成し、対象ネットワーク機器に自動的に投入できるため、作業時間を短縮できるなどの生産性を上げることができます。特に対象となる機器が多い場合には大きな効果が期待できます。
• 簡単にパスワードの変更ができることから、複雑なパスワードを短いインターバルで変更していくことが可能になります。これによって、脆弱性対策をより強固なものにすることができます。

5. アドオンツールはPOLESTAR Automationの可能性を拡大

アドオンツールはPOLESTAR Automationと連携しているため、POLESTAR AutomationのユーザIDとパスワードでそのままログインが可能です。パスワードの変更ができるユーザはAdmin権限以上に制限されており、不正利用の防止が可能です。
アドオンツールは、POLESTAR Automationの機能を拡張し、痒いところに手が届くような機能を持たせるために、弊社ワイドテックで独自に開発しました。
これ以外にも、あったらいいな、あれば便利なのに、という機能をPOLESTAR Automationのアドオンツールとして開発、ご紹介していきますのでご期待ください。また、皆様からのご要望もお待ちしています。

以上