「DX」「2025年の崖」って、なんだっけ?

2021年2月15日

ワイドテック プロダクト企画のYです。

昨春、国内でも華々しくデビューしたはずだった高速無線通信技術「5G」。
理論値では一般的な光回線より速く、実使用レベルでも、現在支配的な方式である4G(LTE)と比べ、下りの通信速度が4~5倍は出ます。
昨年はコロナ禍等の影響も受けてか、5G基地局(NR=New Radioといいます)の展開がなかなか進まず、結局、非常に限定されたスポット的な範囲にしか設置されないまま年末を迎え、流行語大賞やヒット商品番付等に入ることすらありませんでした。

高速無線通信技術「5G」

■「DX」、忘れていませんか?

「5G」と同様に昨年、トレンドの最前線からはやや後方に押し出されてしまった感のあるキーワードが「DX(デジタル・トランスフォーメーション)」かと思います。
経済産業省から「DXレポート ~ITシステム「2025年の崖」克服とDXの本格的な展開~」という報告書が発表されたのは2018年9月で、当時「DX…デラックス?」などというオヤジギャグとか、「transformationがなんでエックスなの?」という素朴な疑問の声もあちこちで飛び交っていたものですが、実は自分もこのコラムを書くためにDXの流れを追うまで「2025年のと覚えていたのは、内緒です。
要旨を改めて整理しておくと、

  • 日本企業の多くで老朽化・肥大化したレガシーシステムを放置しており、サポート期限を迎えても更新されることなく使われ続けている
  • IT人材が不足しており、しかも属人化や下請け企業への業務委託(丸投げ)も多い
  • IT関連費用の約80%が現行ビジネスの維持・運営に充てられている
  • 日本企業でこのままDXを推進しなかった場合の経済的な損失は、最大で年間12兆円。放置すればするだけ毎年経済損失が積み上がる

と、危機感を煽りつつも、納得できる内容でした。
エンタープライズからSMBまで、多くのIT関係者がこのレポートによってDXを意識したと思われ、これ以降、IT投資がにわかに盛り上がったことを弊社でも実感していました。POLESTAR Automationへの問い合わせや、セミナーへの参加申し込み、展示会ブースへの訪問なども、加速度的に増えて行きました。
しかし、その後実際に導入に至ったケースは、こちらの期待ほど多くありませんでした。「DX」という概念は、社内外向けの業務システム(クライアント側やミドルウェア)から、POLESTAR Automationが対象とするサーバー・ネットワークなどのインフラ周りまで、企業におけるIT活用のすべてを網羅するものであり、一気に更新できるものではなく、まずは多くの従業員が日常的に直接操作する、クライアントマシンやフロントシステムから着手した例が多いようでした。
そして、ようやくバックエンドのインフラへと順序が回りつつあった昨年、新型コロナウイルス禍の発生により、各事業所では出勤者の抑制が求められることになり、多くの企業でVPNやVDIの導入、通信回線増強、従業員に支給するノートPCなどの可搬クライアント端末購入といった、緊急性の高いテレワーク環境への投資に振り向けざるを得なかったようです。
コロナ禍以前から「働き方改革」が叫ばれてはいたものの、コロナ禍がなければ、DXよりもテレワーク投資の優先順位は低かったのではないかと思われます。

■コロナ禍で遅れたDX推進。巻き返すには?

コロナ禍に伴うテレワークへの緊急投資需要は、実は弊社全体で見れば、それなりに恩恵を受けた方かもしれません。オフィスの番号への着信を業務携帯などに転送できる電話サービスや、ファイアウォール/NATを跨いでのテレワークが実現可能なリモートアクセス製品などが伸びたからです。
で、次はいよいよ、というか今度こそ! ITインフラの番かなと思っています。昨年はコロナ禍のために後回しにせざるを得なかったITインフラのDX対応投資は、今年以降復活することが見込まれています。昨年4月の第1次緊急事態宣言の頃は減っていた新規のお問い合わせも、コロナ禍が一時的に落ち着いていた秋頃から再び増えはじめ、保留になっていた案件の多くも復活しました。コロナ禍などの感染症による出勤制限にも強い運用を、という趣旨で、新たにPoCを開始されたお客様もおられます。

「2025年の崖」というのは、かつてOSや基幹システムの大量リプレースを発生させた「2000年(Y2K)問題」などとは異なり、はっきりと2025年の何月何日に一斉に何かが起こる、という性格の話ではありません。レポートがまとめられた2018年時点での人口や年齢層の推移、企業のIT投資額などをもとに導き出された、あくまでシミュレーションです。
IT運用の実情は、個別の企業によってまちまちでしょう。「崖」がもう目の前に迫っていることを実感しつつも、諸事情により対策に踏み出せないでいる経営者やIT管理者の方も、中にはおられるかもしれません。もちろん、運用業務の属人化排除やタイムリーなシステム更新などの対策を早くから講じていれば、「崖」を見ることもなく未来永劫、安定したIT運用を維持・継続できることでしょう。
しかし、属人的かつサイロ化したITインフラ運用、レガシーシステムやシャドウITの放置、外部への運用業務丸投げなどは、規模や内容によっても異なるものの、さまざまな内的・外的要因による破綻の危険性を孕んでいると思いますし、古いシステムを旧態然とした運用手順で使い続けることで発生するコストの無駄も、馬鹿にならないでしょう。
そこでおすすめするのが、POLESTAR Automationです。短い期間で導入でき、しかも1つのソリューションで、運用業務全体をカバーすることができます。「崖」を回避するには、運用を含むITシステム全体の管理・運用体制の見直し、投資の最適化など経営側のトランスフォーメーション(変身)も必要ですが、何より鍵になるのは運用現場のトランスフォーメーション、属人化しない運用だと思います。


さて、冒頭に触れた5Gですが、空振りだった昨年とは異なり、今年は新年度を迎える4月前後、既存携帯キャリア3社の「5G対応・データ20GBで2000円台(税別)・オンライン契約専用」料金プランが展開される頃までには、全国主要都市でかなり広いエリアに展開されると聞いています。
1月に出されて3月まで延長された10都府県の緊急事態宣言、再度延長されそうな情勢ですが、解除時期が見えてくる頃には、5Gで自宅からテレワークができるようになっている人も出てきているのかもしれませんね。
今年こそ真の「5G元年」になることを期待しています。
そして、5GといっしょにDX、特にITインフラ運用のDXにぴったりなPOLESTAR Automationのことも、この機会に思い出していただければ幸いです。