2023年度のIT投資は旺盛、ITサービス管理投資も上位に
IT調査・ コンサルティング会社の株式会社アイ・ティ・アール(ITR)から、今年も国内IT投資動向調査報告書2023が発行されました。
この調査報告書では、脆弱性対策やDX需要の高まりを受けて、2023年度も旺盛なIT投資が見込まれると記載されています。
そして、投資対象としてITサービス管理や運用自動化といったキーワードが含まれており、「繰り返し」「手間のかかる」システム運用管理の効率化に、ようやく日の目があたりそうです。
1.2023年度のIT予算
2022年度(2022年4月~2023年3月)のIT予算額が前年度から「増額」したとする企業は、2021年から6ポイント増加しました。調査回答では、2023年度も2022年度とほぼ同水準のIT投資が期待できそうです。
ITRでは、「コロナ禍によるビジネス環境の変化とDXに対する意欲の高まりがIT投資の増額を後押ししている」とコメントしています。
出所:ITR「IT投資動向調査2023」からワイドテック作成
<図1>IT予算額の増減(2021~2023年度予想)
2.DX関連予算
DX関連に関して予算を計上している企業は全体の約半数に上っているようです。
ITRでは、従業員エンパワメント、顧客エンゲージメント、オペレーション最適化、製品・サービスの競争力向上という4つの括りでDX投資のタイプをまとめていますが、システム運用という観点で従業員エンパワメント、オペレーション最適化を抜き出し、図2に取組状況を示してみました。
情シス部門、運用管理者の観点で言えば、ワークスタイルの変革や業務の自動化の一部が、いわゆる運用DXに関わる部分だと思います。
特に多くの情シス部門関係者の課題である、構成情報の定期収集やWindowsアップデートなどについて、自動化を望む声が多いものと思われます。
3.2023年度に新規導入/投資増額が期待される上位10製品・サービス
代表的なIT製品・サービスにおける、投資額の増減と新規導入の可能性調査は、来年度、企業が何に投資をしようとしているかを理解するために重要な情報です。
調査結果を図3 2023年度に新規導入/投資増額が期待される上位10製品・サービスに示します。
新規に導入する可能性のある製品・サービスを「2023年度新規導入可能性」で、導入済み企業における来年度の投資額の増減を「投資増減指数」としてランキングしています。
※ITRでは、「インフラ/デバイス」「ミドルウェア」「業務系システム」「情報系システム」「セキュリティ」の5分野から全110項目を選出している。
この結果、新規導入可能性の1位は、前年度と同じ「電子契約/契約管理」に、投資増減指数の1位は前年2位だった「BI/データ分析」になりました。
システム運用に関する製品・サービスでは、「2023年度新規導入可能性」の5位にITサービス管理が入りました。ITサービス管理は、システムの監視から構成管理、インシデント管理に至るまでのシステム運用すべてに関して、何らかのサービスやツールを導入するものだと考えられます。
また、投資増減指数としては運用自動化が8位に入っています。
これは昨年もトップ10入りをしていましたが、脆弱性対策やクラウド化投資の陰に隠れて日の目を見なかったようです。しかし、2023年度も再びトップ10に入っているということは、根強いニーズがあるからなのでしょう。
情シス部門では、経営トップからセキュリティ対策の一環である、脆弱性対策を早急に行ってほしいというプレッシャー下にあります。このため、リソース不足が逼迫しており、自動化せざるをえないというのが実態かもしれません。
出所:ITR「IT投資動向調査2023」からワイドテック作成
<図3>2023年度に新規導入/投資増額が期待される上位10製品・サービス
株式会社アイ・ティ・アールの国内IT投資動向調査報告書2023の紹介ページはこちらからアクセスいただけます。
https://www.itr.co.jp/report/itinvestment/s23000100.html