VPSで動かすPOLESTAR Automation 評価版・2~インストール手順編

2019年6月12日

ワイドテックのYです。

前回に引き続き「この」VPSシリーズの第2弾。実際にVPSにPOLESTAR Automationをインストールする手順をご紹介します。

■まずは管理サーバーの準備から

POLESTAR Automationの本体と呼べるのが管理サーバー(Manager Server)です。VPSを確保し、管理サーバーをインストールしてみましょう。

1. VPSの用意ができていることを前提とします。プラン選択から初期設定、SSHでコンソールを開けるようになるまでの一連の手順は省きますが、「この」VPSはコントロールパネルが非常にわかりやすいですね。ちなみにOSはいろいろなLinux/BSDディストリビューションから選べますが、迷ったらこれ、ということでCentOSにしました。

まずは管理サーバーの準備から

2. まずはダウンロードの申し込みからです。 最低限必要なのは、お名前とメールアドレス(確認のために2度入力)、そして評価版使用許諾と個人情報保護条件への同意だけですが、企業の方は企業名なども書いていただけると嬉しいです。

まずはダウンロードの申し込みからです。最低限必要なのは、お名前とメールアドレス(確認のために2度入力)、そして評価版使用許諾と個人情報保護条件への同意だけですが、企業の方は企業名なども書いていただけると嬉しいです。

3. 数秒後、ダウンロード用URL(3回までアクセス可能)の記載されたメールが、先の申し込み画面で入力したメールアドレス宛に自動送信されます。クライアントPCでブラウザから開き、Linux用POLESTAR Automation評価版一式をダウンロードしましょう。

  • POLESTAR Server software for Linux
  • POLESTAR インストールガイド(Linux)
  • POLESTAR Agent software for Linux
  • POLESTAR Agentインストールガイド(Linux)

Windows系のサーバーも管理対象とする場合は、Windows版のエージェントもダウンロードしておきます。

  • POLESTAR Agent software for Windows
  • POLESTAR Agent インストールガイド(Windows)
Windows系のサーバーも管理対象とする場合は、Windows版のエージェントもダウンロードしておきます。

4. ダウンロードしたLinux用評価版のtar.gzファイルを展開します。展開するとPolestarEvaliation_Linuxというディレクトリ(フォルダー)が作成され、その中にプログラム本体のアーカイブであるpolestar_evaluation.tar.gzとマニュアル、そしてライセンスキーのテキストファイルが格納されています。
※今回の作業はWindowsクライアント上から行っていますが、もちろんデスクトップLinuxや他の環境から実施しても構いません。

ダウンロードしたLinux用評価版のtar.gzファイルを展開します。展開するとPolestarEvaliation_Linuxというディレクトリ(フォルダー)が作成され、その中にプログラム本体のアーカイブであるpolestar_evaluation.tar.gzとマニュアル、そしてライセンスキーのテキストファイルが格納されています

5. VPSにSSHクライアントでroot権限でログインし、polestar_evaluation.tar.gzをrootディレクトリに転送します。WindowsでTera Termをお使いの方は、ドラッグ&ドロップでSCPを使うと便利でしょう。

VPSにSSHクライアントでroot権限でログインし、polestar_evaluation.tar.gzをrootディレクトリに転送します。WindowsでTera Termをお使いの方は、ドラッグ&ドロップでSCPを使うと便利でしょう。

6. 転送したpolestar_evaluation.tar.gzをそのままrootディレクトリ上で展開します。
# tar -xzvf polestar_evaluation.tar.gz
展開すると、ディレクトリpolestarが作成されます。
※展開後、polestar_evaluation.tar.gzは削除していただいても構いません

7. このtar.gzには、POLESTAR Automationのプログラム以外に、実はMariaDB(とOpenJDK)も同梱されています。 まずMariaDB関連の作業を行います。

# useradd mysql
# cd polestar
# chown -R mysql mariadb-10.3.12-linux-x86_64
# chgrp -R mysql mariadb-10.3.12-linux-x86_64
# su mysql
# cd mariadb-10.3.12-linux-x86_64/bin
# ./mysqld_safe --defaults-file=/polestar/mariadb-10.3.12-linux-x86_64/my.cnf
# su root

8. 次にファイアウォールの設定です。必要なポートの開放を行います。
開放するのはいずれもTCPポートで、80(Web UI用)、3306(MariaDB用)、22002、22003、22005(以上POLESTAR Automation独自機能で使用)の5つです。
ここではCentOS 7の標準であるfirewalldでの手順をご紹介していますが、iptablesの方に慣れ親しんでいるという方、UbuntuでUFWを使われる方などは適宜読み替えてください(手抜きですみません)。

# firewall-cmd --add-port=80/tcp --zone=public --permanent
# firewall-cmd --add-port=3306/tcp --zone=public --permanent
# firewall-cmd --add-port=22002/tcp --zone=public --permanent
# firewall-cmd --add-port=22003/tcp --zone=public --permanent
# firewall-cmd --add-port=22005/tcp --zone=public --permanent
# firewall-cmd --reload

9. ここまでで、POLESTAR Automationが起動できる状態となりました。

# cd /polestar/polestar_automation/bin
# ./manager.sh -start

最初の起動時にはDBの構築など一通りの初期設定を行うので、結構時間がかかります。

# ./manager.sh -status

を実行してみて、

Manager is running.

と出れば、POLESTAR Automationの起動が完了し、実行中の状態です。

10. ブラウザでVPSのIPアドレスを開いてみましょう。 デフォルトでは80番ポートにアサインされていますので、そのままIPアドレスを叩けばログイン画面が開くはずです。 最近のブラウザなら、まずFlashの実行許可が求められると思います。許可してください。

ブラウザでVPSのIPアドレスを開いてみましょう。デフォルトでは80番ポートにアサインされていますので、そのままIPアドレスを叩けばログイン画面が開くはずです。最近のブラウザなら、まずFlashの実行許可が求められると思います。許可してください。

Flashを許可すると、下のようなログイン画面が開きます。とりあえずログインしてみましょう。初期ログインIDとパスワードは、先にクライアントPCで展開した先にある「Polestar_v2.4.12_9 (Linux版).pdf」の7ページをご覧ください。

Flashを許可すると、下のようなログイン画面が開きます。とりあえずログインしてみましょう。初期ログインIDとパスワードは、先にクライアントPCで展開した先にある「Polestar_v2.4.12_9 (Linux版).pdf」の7ページをご覧ください。

11. ログインすると下のようなPOLESTAR Automationの管理画面が現れますが、初期状態のダッシュボードは、文字通り真っ白です。

ログインすると下のようなPOLESTAR Automationの管理画面が現れますが、初期状態のダッシュボードは、文字通り真っ白です。

画面の右上に歯車のアイコンがあります。とりあえず、以下のように操作してみましょう。

画面の右上に歯車のアイコンがあります。とりあえず、以下のように操作してみましょう。

こんな感じで、POLESTAR Automationらしくなります。

こんな感じで、POLESTAR Automationらしくなります。

12. この状態では、まだ管理対象サーバーやネットワーク機器を登録することはできません。評価版ライセンスを適用しましょう。
クライアントPCで先に展開したフォルダにある、「[Evaluation] Polestar Automation License.txt」ファイルを普段お使いのテキストエディタで開き、全体をコピーします。
次に、ブラウザに開いているPOLESTAR Automationの「システム管理」-「ライセンス管理」を開いて、コピーしたライセンスを貼り付けます。
ライセンス適用が完了すると、サーバー・ネットワーク機器各10台までを登録して180日間お使いいただける、POLESTAR Automation評価版の管理サーバーとしての準備が完了します。
このあたりの手順は、同じフォルダにある「POLESTAR_ライセンスキーの適用.pdf」もご参照ください。

■エージェントのインストール

管理サーバーの準備が整ったら、管理対象サーバーにエージェントをインストールし、管理サーバーに登録してみましょう。
まずは、管理サーバーをインストールしたVPS自分自身を管理対象として登録してみるのが、手っ取り早いです。

1. 先にクライアントPCでダウンロードしておいたAgent_Linux.tar.gzを展開します。
作成されたagent_linuxフォルダーの中身は、下のようになっているはずです。

先にクライアントPCでダウンロードしておいたAgent_Linux.tar.gzを展開します。作成されたagent_linuxフォルダーの中身は、下のようになっているはずです。

2. VPSにSSHクライアントでログインし、PolestarDCA_Linux64_3.4_2.3.1.9.tar.gz (64ビットLinux用エージェント)を転送します。転送先はホームディレクトリでも構いませんが、サブディレクトリを作成してそこに展開することをおすすめします。

3. 転送したエージェントのファイルを展開します。
# tar –xzvf PolestarDCA_Linux64_3.4_2.3.1.9.tar.gz
カレントディレクトリにシェルスクリプトAgentInstall.shと、PolestarDCA_Agent というサブディレクトリが作成されます。

4. AgentInstall.shを実行すると、エージェントがインストールされます。
# ./AgentInstall.sh

5. もし管理サーバーと別のVPSや、実機を含む他のLinuxサーバーにエージェントをインストールした場合は、TCPポート22003の開放を行ってください。
# firewall-cmd --add-port=22003/tcp --zone=public --permanent
# firewall-cmd --reload

6. 以上でエージェントがインストールされ、管理サーバーからの登録が可能になりました。

■管理対象サーバーの登録

1. クライアントPCのブラウザでVPSのIPアドレスを開いて管理サーバーにログインし、メニューの「構成」-「デバイス登録」-「サーバ」の順に選択します。

クライアントPCのブラウザでVPSのIPアドレスを開いて管理サーバーにログインし、メニューの「構成」-「デバイス登録」-「サーバ」の順に選択

2. 「サーバ登録」画面が開きます。
「検索開始IPアドレス」「検索終了IPアドレス」ともに、エージェントをインストールした管理対象サーバー(ここでは管理サーバー自身)の同じIPアドレスを入力し、右上の「追加」をクリックします。
「ポート」は22003のままにしておきます。

「検索開始IPアドレス」「検索終了IPアドレス」ともに、エージェントをインストールした管理対象サーバー(ここでは管理サーバー自身)の同じIPアドレスを入力し、右上の「追加」をクリックします。「ポート」は22003のままにしておきます。

3. 検索開始IPアドレスの下あたりに、入力されたサーバーのIPアドレスが表示されているはずです。 下端中央の「次へ」をクリックします。

検索開始IPアドレスの下あたりに、入力されたサーバーのIPアドレスが表示されているはずです。 下端中央の「次へ」をクリックします。

4. 「ロール」を指定するステップとなります。指定したロール(権限グループ)に属するユーザーだけにサーバーを見せるようにするための設定ですが、今回はそのまま「次へ」をクリックします。クリックすると、サーバーの検索が開始されます。

「ロール」を指定するステップとなります。指定したロール(権限グループ)に属するユーザーだけにサーバーを見せるようにするための設定ですが、今回はそのまま「次へ」をクリックします。クリックすると、サーバーの検索が開始されます。

5. サーバーの検索が完了し、登録が可能になったところです。「登録」をクリックすると、サーバーの登録が行われます。

サーバーの検索が完了し、登録が可能になったところです。「登録」をクリックすると、サーバーの登録が行われます。

6. 登録が完了すると、状態が「管理」に変わります。「閉じる」をクリックしてください。

登録が完了すると、状態が「管理」に変わります。「閉じる」をクリックしてください。

7. ワークスペース(左端のツリー部分)に、登録したサーバーが表示されることを確認してみましょう。
「All」(登録済みサーバーすべて)と「Linux」(Linuxサーバーのみ絞り込み)の両方に、先に登録したサーバーのホスト名があるはずです。
どちらでも構いませんので、ダブルクリックしてみましょう。

ワークスペース(左端のツリー部分)に、登録したサーバーが表示されることを確認してみましょう。「All」(登録済みサーバーすべて)と「Linux」(Linuxサーバーのみ絞り込み)の両方に、先に登録したサーバーのホスト名があるはずです。

8. エージェントによって取得された管理対象サーバーの情報が表示されます。これはエージェントの情報を表示しているところですが、CPUやディスク(ストレージ)、ファイルシステム(ファイルとディレクトリ/フォルダー)、メモリ、ネットワークインターフェース、OSといった情報も見られます。

エージェントによって取得された管理対象サーバーの情報が表示されます。これはエージェントの情報を表示しているところですが、CPUやディスク(ストレージ)、ファイルシステム(ファイルとディレクトリ/フォルダー)、メモリ、ネットワークインターフェース、OSといった情報も見られます。

以上、今回は管理サーバーとエージェントのインストール、そして、エージェントの入った管理対象サーバーを管理サーバーに登録する手順をご紹介しました。
この記事、VPS向け、と銘打っていますが、別に物理実機であろうがオンプレ環境上にある仮想マシンであろうが、対象がLinuxである限り、基本的な手順は同じです。違いはローカルでダウンロードしたインストール関連ファイルをどうやってリモート側に送り込むか、それだけの話です。VPS以外の方も、ぜひ参考にしていただければ、と思います。

ここまででPOLESTAR Automationは動くようになりますが、管理対象サーバーに対してスクリプトを自動的に実行したり、点検をかけたり、といったPOLESTAR Automationならではの自動化機能を利用するには、「点検グループ」や「ジョブ」のインポートまたは作成が必要です。
次回は、そのあたりのご紹介です。