VPSで動かすPOLESTAR Automation 評価版・1~イントロ編

2019年6月11日

ワイドテックのYです。

前回のコラムで、自分でPOLESTAR Automation評価版を入れてみた話を書きましたが、そのインストール先がVPS(Virtual Private Server=仮想プライベートサーバー、root権限付きでレンタルされている仮想サーバー)であることはサラッと流しただけで、どのVPSを使ったのかとか、スペックとかには触れませんでした。ネタとしてキープしておいたために他ならないのですが、今回は、その部分を詳細にご紹介する段となります。

■評価版をどこに置くのか? それが問題だ

評価版を試したくても、あいにく実機が空いていないとか、仮想OSであっても自宅や勤務先のPCに入れるのはローカルのリソースを消費するので面倒だ、とおっしゃる方も、少なくないことでしょう。
それならば、と思いつくのが、パブリッククラウドやVPSなどに立てる方法です。中でも個人ユースなら、何もかもが従量制課金のクラウドではなく、固定料金主体のVPSに立てる方がベターだと思います。
しかし、公式に弊社からアナウンスしている評価版の動作環境での要求スペックは、贔屓目に見ても結構ハードル高めなものです。

    【動作環境】
  • OS:Windows2012以降、またはLinux(カーネル2.4以降)
  • 最小構成
    • CPU: 4Core以上
    • Memory: 8GB以上
    • Disk: 50GB (OS領域含む)以上
  • 推奨構成
    • CPU: 8Core以上
    • Memory: 16GB以上
    • Disk: 100GB (OS領域含む)以上

これ、開発元が決めたものとはいえ、これだけ見ると月1,000円以下のVPSはキツいと言わざるを得ないですね。気楽に試すにはちょっと辛いし、お勧めする立場としても少し気が引けてしまいます。
評価版とはいえ、実はプログラム自体は製品版など展開しているものと同じなのですが、管理対象のサーバー・ネットワーク機器が各10台、合計最大20台までに限定された評価版を試すのに、そこまでのスペックが必要なのか? という疑問が以前からありました。

■あえて、動作条件を下回るVPSで試してみる

そこで、実用最低レベルは一体どの辺までなのかを見極める上でも、VPSへの、それもギリギリ動きそうなローエンドに近い構成でのインストールにチャレンジしてみることにした次第です。
今回試したのは、月額ベースで借りられるだけでなく、時間単位の課金(不要な時は止めれば課金されない)にも対応していて、二次元+有名声優さんを使ったキャラクター展開でも知られる、国内の有名どころです。「この」VPS、個人的には以前から一度試してみたいと思っていたので、この機会に自腹でサインアップしてみました。

動作条件を下回るVPSで試してみる

今回試したのは下から2番めのプランで、2コアの仮想CPU、メモリ1GB、SSDストレージ50GB、最新Linuxが使えて月額900円。1000円以下クラスのVPSとしてはスペックの良い方だと思います。今回は「令和」記念割引だとかで、10%引きの810円でした。

下の画面は、「この」VPSにインストールしたPOLESTAR Automation評価版の管理サーバーをブラウザで開き、「ダッシュボード」-「構成の状況」から登録済みの管理対象サーバーの一覧を開いてみたところです。

Linuxが6つ(うち4つがCentOS、2つがUbuntu)、Windowsが1つあります。

VPSにインストールしたPOLESTAR Automation評価版の管理サーバーをブラウザで開き、「ダッシュボード」-「構成の状況」から登録済みの管理対象サーバーの一覧を開いてみたところです。

POLESTAR Automationのエージェントをインストールして管理サーバーに登録すると、ハードウェアやOSの構成状態を、一目瞭然で確認できるようになります。
以下は「この」VPS自体にインストールしたエージェントによって収集された、「この」VPSのリソース情報のスクリーンショットです。まずはCPUから。コアは2つ、2.4GHzのXeonなのですね。

VPS自体にインストールしたエージェントによって収集された、「この」VPSのリソース情報のスクリーンショットです。まずはCPUから。コアは2つ、2.4GHzのXeonなのです

これはメモリ容量、単位はKB(キロバイト)です。本当に約1GBです。

メモリ容量、単位はKB(キロバイト)

こちらはOSの情報です。仮想化基盤OpenStack Nova上で動いているCentOS 7.6であることがわかります。ちなみにカーネル5.1.6はBBR(前回のコラム参照)を使うために、自分で入れたものです。

OSの情報

と、いうわけで、今回の結論。

実際に試してみた印象では、社内の実機などで動かすのに比べると、やや重いかな、という気はしたものの、使えないレベルではないと感じました。
ログインして最初の画面全体のロードにはやや時間が掛かる印象です。freeコマンドで見てみるとSwap領域を多少消費しているようなので、スワップのためだと思いますが、ストレージがSSDということもあってか、そこまで待たされる感じもありません。一旦開き終わるとワークスペース(管理画面左側のツリー部分)でサーバー一覧を出す時間とかは、オンプレミスのPOLESTAR Automationとさほど遜色ない体感速度です。
ジョブも数台が対象ですから、実行速度はオンプレと大差ないです。
そんなわけで、自分なりの(非公式)結論です。
POLESTAR Automation評価版を動かしてみるなら、評価版の対象台数(サーバー/ネットワーク機器各10ノード、計最大20ノード)の範囲内であれば、今回の評価に用いた「この」VPSや同等のスペックで、リーズナブルな価格帯のVPSで十分です!

ちなみに管理対象として登録したのは、別のVPSやクラウド上にあるサーバー群と自宅のサーバーで、すべてグローバルIPでの登録です。対象のサーバーやVPSには予めエージェントを導入しておく必要があり、エージェントがVPS上のPOLESTAR Automation管理サーバーと疎通するためのポートの開放を、各VPSごとに行う必要もあります。
なお、VPS上のPOLESTAR AutomationにLAN上のサーバーを登録して管理したい場合、VPS側にVPNクライアントをインストールして、LAN側のVPNサーバーに疎通させるか、またはエージェントがグローバルにあるVPSから見えるように、インターネットに接続されたルーターでポートを開放する方法があります。接続点が1箇所で済み、プライベートIPアドレスで登録できる前者の方が、一旦VPNさえ疎通してしまえば楽な上にセキュリティ的にも良いのでしょうが、今回は自宅サーバー1台なので、後者の方法で試しています。
VPNを使う方法は、法人のお客様でパブリッククラウドやVPSに立てたPOLESTAR AutomationからPoCを行う場合にも有用かなと思います。

このコラムは、3回に分けての連載を予定しています。
次回は、VPSへの実際のインストール手順をご紹介します。